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2012年12月28日 (金)

2013年動向予測 国際編(五) 東南アジア

2013年動向予測 国際編(四)の続き

ⅶ 今後の期待が大きい東南アジア諸国

東南アジア関係は、様々な課題を抱えつつも、中国に代わる投資先として、更に注目を集めるだろう。

●インドネシアは、かつてのイメージと異なり、投資の対象として、今後、更なる有望国だ。インドネシアは、すでに日本とは輸出入の関係では高い比率だ。天然資源中心の貿易だが、今は過渡期かもしれない。米国のシェールガス・シェールオイルの増産に伴い、資源価格は下落する。そのため、資源は輸出せず、内需に活用の方向で検討しているようだ。

2億2千万人の人口を活かすには、産業の高度化とインフラの整備が必要だろう。まず、日本と同様、海運体制と道路整備、鉄道建設、電力需給に対応できるように発電所建設をやる必要がある。日本としては、これらのインフラ整備の協力と、更なる商材開発が求められる。

インドネシア政府とインフラ整備で開発計画は合意されている。ジャカルタ首都圏投資促進特別地域構想で、工業団地群の改善、都市環境整備、複数ゲートウェー、低炭素エネルギーの開発など。

国内市場が成長すれば、いずれ大きなマーケットになる。もちろん途上国にありがちな課題は多い。富の分配も偏っているだろう。失業や貧困問題は、解決していない。賃上げの要求も厳しい(賃金改定の時期は毎年1月)。高度成長期には止むをえないことかもしれない。

ただ、インフレと賃上げ率のバランスが悪い。中途半端に高い賃金を提示する日本企業も原因がありそうだ。巧みな労使交渉が求められる。政府はインフレを、いかに適正水準に抑えるが問われている。それでも、少しずつ全体として、よくなっていることは見逃せない。

また燃料補助金の問題もある。現在、インドネシアは資源輸入国だが、資源国時代の燃料補助金の廃止に踏み切れずにいる。エネルギー料金の値上げに踏み切ったが、産業界の強い反対で挫折。これがインフラ整備のネックになっている。2014年に総選挙があるが、それまでに解決できるかどうかが、この国の将来を占うことになる。

また多民族、多宗教、多地域をまとめる政治手法は注目に値する。日本も、現在のインドネシアの統治手法は、十分参考になるだろう。

●マレーシアは、今後、鉄道の可能性が指摘されている。車や空の交通が先行しているが、観光客を呼び込むためには、鉄道の整備も求められる。日本からは、廃止車両のブルートレインをJRが譲渡しているが、システム面での整備が求められる。

日本は、中国旅行者に代わる観光需要に期待している。イスラム国家ゆえ、宗教儀式に配慮が必要だが、それをしっかりすれば需要開発は可能だろう。

●台湾は、かつてほど中国と対立しておらず、現在、特に経済面では、持ちつ持たれつの関係だ。米国が囃したてるほど関係は悪くない。2012年の中国の主席交代による政治的日中関係の悪化を見越して、日台関係を、より深めようとする企業が出てきても不思議ではない。特に、中小企業は台湾企業との提携により、中国や東南アジアのビジネスを展開できる可能性を考慮すべきだろう。

ただ、台湾は少し中国に入れ込みすぎたことが懸念材料だ。勢いのある企業も、少し間違えれば破綻の可能性もある。これにより中国の関与が強くなり、いろんな面で経済が弱体化するリスクを内包している。台湾の指導者は中国リスクを勘案して、中国との取り組みを考えなければ、今後、日本企業の進出は難しいかもしれない。

●タイでは、初の女性首相が誕生したが、バックはしっかりしているものの、その政策運営には疑問点が多い。多分にポピュリズムに走る傾向が強く、あまり長続きしない感じもする。今後、どのように修正していくか。

経済政策的には、基本的には、洪水対策と交通インフラの強化が求められる。洪水対策は、日本も協力するようだが、日本企業は、やや過大に進出している感じもする。ただ東南アジアでネットワークを展開する上で、重要な地点であることは間違いない。

すなわち、タイ企業は、海外展開に熱心だ。東南アジア地域経済統合を目指したASEAN経済共同体(AEC)の発足が2015年だから、それに向けて存在感を示そうとしているのだ。この共同体の人口が6億人だから、それに対して意欲を示すのも、よくわかる。

インドネシア、ベトナム、フィリピン、マレーシア等に投資しているが、ミャンマーにも触手を伸ばしている。企業グループにもよるが、概ね海外の比率を50%以上に引き上げたいようだ。更に、AEC内の観光客を取り込もうと、国内にも投資している。

●ミャンマーは、スーチー氏が米国に経済制裁の緩和を求めたことで、米国が方針転換したことで、この国への投資が注目されている。ミャンマーは、まだまだインフラが整っておらず、ミャンマーへの直接投資もいいが、タイ経由での投資と、当面、両方検討すべきだろう。

ただミャンマーは、豊かな資源を持ち、水力発電も期待できることから、エネルギー不足のインドはミャンマーに期待しており、日本が、その面で協力することは可能だろう。日本とインドとの関係でも、ミャンマーへの進出は有効だ。

●ベトナムは、人口が8600万人もいるのに、未だ公共交通機関が発達していない。日本政府は新幹線とかの話を持っていくが、まだ早い感じだ。一般の公共交通機関の充実が先だろう。また日本は、電力不足の解決のために原子力発電を輸出しようとしているが、使用済み核燃料の処理について、まだ何も解決していないのに、輸出は不適当だろう。ベトナムには、原子力とは別のエネルギーシステムを提案すべきだろう。

ベトナムは、今後、観光政策も睨んで、公共交通網の整備が必要で、日本としても協力できることはすればいい。また社会主義政策として、ガソリン価格を政府が補填するやり方は、国際収支を悪化させる。普通の経済原則にあてはめるべきだ。

ただ、ベトナムの経済のピークは終わったようだ。今後、経済は徐々に落ちていくだろう。現在、すでにバブル崩壊して、銀行は不良債権処理に追われている。物価上昇を抑えるため、金融引き締めをしたが、それが効きすぎて、景気が極端に悪化している。かつて日本が辿った道だ。しばらく、ベトナム市場としては期待できないだろう。復活するには相当時間がかかると見てよい。

●バングラディッシュも注目していいだろう。ただ貧困の解決には時間がかかる。政府の腐敗も気にかかる。日本企業は繊維関係で進出がやや多いが、それ以外ではは、まだ大きな期待はできない。

フィリピン等、その他の東南アジア諸国も注目を浴びるだろうが、ここでは割愛する。

次回に続く。

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