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2012年12月29日 (土)

2013年動向予測 国際編(六) ブラジル・ロシア・中東

2013年動向予測 国際編(五)の続き

状況は2012年とあまり変わらない。ただ、資源国である、ブラジル・ロシア・中東は、今後、資源価格の変調により、概ね苦境に立たされる可能性がある。さらに米国のシェールガス・シェールオイルが増産されると、さらに価格は下落する厳しい状況が待ち受けている。以下では触れないが、オーストラリアも同様の傾向を示す。

ⅷ ブラジルは、やや変調に

2014年にサッカーワールドカップ、2016年オリンピック開催も、南米で初めて決まっているので、それまでは期待できる。ただ、ここへ来て、主要貿易国である、欧米と中国の変調から影響を受けている。資源価格の下落は、辛い。救いは農業は2012年は好調だったことだが、天候に左右されるので、2013年は分らない。

更に、資源価格の下落に伴い、国内消費がおかしくなりつつある。もともと貯蓄率が低く、基本的に中産階級、低所得層の借金体質が悪化しつつある。負債が返せなくなっている。支払いが滞っているのだ。また耐久消費財の普及が一応終わりつつあることも、国内消費が振るわない原因の一つと考えられる。

いろんな課題も発生している。インフレ抑制→金利高→レアル高になっている。レアル高により、製造業が収縮する。日本と同じような課題だ。日本と同様、レアルが過大評価されると、政府は、租税政策により、税率の引き下げにより、市場活性化に取り組み、一応の成果を得るが、いつまで続くか分からない。

逆に、レアル安になるとインフレの原因になる。海外市場の悪化で、交易条件が上がっても、輸出は停滞する。ユーロが不安定で、彼らが資金を引き上げれば、どの新興国同様、危機が迫る。

対応するには、外資に依存する資金調達も脆弱過ぎるので、国内の貯蓄率を高める政策が求められる。現在は、ラテン国家特有の貯蓄率が低すぎる。これは今後のブラジルの発展を占うものだ。家計の借金体質を改められるだろうか。

また電力、輸送のインフラ整備も課題だろう。政府は、道路と鉄道のインフラ整備に30年間で、1330億ドル投資を行う計画を立てている。ただ、従来の例からして、計画通り物事が運ぶかどうか危ぶまれている。これはラテン気質が禍しているのだろう。ただ意欲は評価できる。

その他に、労働市場整備、社会保障の問題もある。成長期の一時的な落ち込み期にありがちな不正や汚職の横行の問題もある。ただ、これらは成長期の国にあるプラスの課題だ。現在、苦しんでいる先進国のマイナスの課題とは、大きく異なる。一つ一つ、課題を解決していけば、案外、明るいブラジルの未来が見える。

それに、資源国からある程度、脱皮していることもあり、中間層の厚みもあり、内需が成長する限り、急激な落ち込みはないかもしれない。でも、今の間に国の経済の質を高めることは有効だろう。成長のピークはかつて2020年頃と見られていたが、ここで若干停滞しても、政策次第では、更に伸びる可能性がある。

ⅸ ロシアは成長鈍化

ロシアは、ユーロと一体で考えなければならないのは変わらないのは2012年と同じ。資源需要先のユーロが依然厳しい状態が続くので、ロシア経済は停滞するのは変わらない。更に米国のシェールガス生産が追い打ちをかける。2013年は、より厳しくなるだろう。ロシア経済はすでにピークアウトした。資源以外の産業は育っておらず、資源国としての宿命として、プレの激しい経済は続く。

その結果、現在の中間層は27%程度で、今後の拡大を期待しているが、ここへ来て、内需もおかしくなっている。これは高齢化の影響も大いにある。原因は投資の減少と個人消費の減少だ。この流れは当面変わるまい。やはりユーロの悪化の影響は大きい。今後、原油や天然ガスの上昇余地は少なく、むしろ下落しかねない。

結局、ロシアはユーロ崩壊後を睨んだ戦略としては、アジアに進出するしかない。ユーロの購入価格と途上国の購入価格は差があるが、新たな南下政策が始まったと見てよいだろう。中国以外に、日本、朝鮮半島、東南アジア諸国にも触手を伸ばしている。

すでに彼らの行動に見られる諸々の駆け引きは、それを裏付けている。朝鮮半島の横断鉄道へのアプローチ、日本に対する北方領土を餌にしたエネルギー資源の売り込み、ベトナム・ミャンマーへのアプローチなどがそれだ。

日本との関係では、メドベージェフ前大統領が北方領土を訪問するなど、一種の焦りも感じられた。これは日本にロシアに関心を持ってもらいたいという気持ちがあったのかもしれない。つまり、米国が中国を警戒するように、ロシアも中国を警戒している。そのためには、日本を取り込みたい思いがあるかもしれない。

ところが、メドベージェフ前大統領の北方領土訪問は、日本との1993年の取り決めを無視したものであり、日本からは当然、反発を食らい、また世界的にも信用を失墜した。日本には、スターリンの亡霊は生きている。そういうやり方が日本に不信感を増幅させる。

ロシアは、日ソ不可侵条約を一方的に破棄して、北方領土を不当に占拠して、現在に至っている。結局、大統領の北方領土訪問は、ますます日本の不信感を高めただけだろう。そして、世界から、何をやるかわからないという疑念の目で見られている。

確かに、プーチンが大統領に復帰して、メドベージェフは首相になった。だが、これは誤魔化しのようにしか見えない。役割を変えたと言っても、その中身は変わらない。彼らが北方領土を返還しない限り、日本としては、政治でも、ビジネスでも相手にしないことだ。いずれにせよ、日本としては、政経共に期待できる相手ではないことは確かだ。

ロシアは、日本からスターリンの亡霊を取り除く努力をしないと、日ロ関係の改善はなされないだろう。ただ日本にとって、言えることは、この国が苦境に陥った時のみ、各種交渉相手たりうる。原油価格が急落すれば、体制が崩壊するとの予測もある。その点は、冷静に対処しなければならない。その時に、初めて交渉相手たりうる。その機会をじっと、うかがうべきだろう。

最後に、ロシアを市場として見れば、どうかという問題がある。WTOに加盟したので、有望市場だと指摘する向きもある。ビジネス的には大変遅れていて、汚職にまみれている。今後、透明性のある市場作り、市場へのアクセス改善等が求められる。

またロシアは物価が高く、低価格品に対する需要は旺盛なようだ。また人口はそれほどでもなく、今後は更に高齢化の波にさらされる。そういう意味では、医療や医薬品の分野では、ビジネスチャンスが広がる可能性もある。

ⅹ 中東情勢

中東の不安定さは、エジプト、リビアを始め、民衆が立ち上がっているが、スムーズに民主化への道を歩むかは疑問視されている。ムスリムと軍部の対立は深刻だ。自然環境の厳しい国家は、必ずしも民主主義がいいとも言えない面がある。概して強いリーダーが求められがちだ。民主化の道には、今後、紆余曲折があるものと予測される。

しかしながら、結局、中東のことは、中東に任せるしかない。米国も、シェールガス・シェールオイルの自国生産により、中東には、かつてほど関心を示さなくなるかもしれない。その時、彼らはどうするべきか。イスラエルとアラブの対立は深刻だが、彼らは無知ではない。中東には中東の知恵者がおり、彼らに任せれば、それなりに収まるだろう。

先進国は、基本的に、貧困の解消に手を差し伸べればいい。中東の問題は、人口の増大と貧困の存在だ。それを解決し、落ち着くには、まだしばらく時間がかかる。しかし、いずれ中東(イスラム)市場が形成される。新しい産業を根づかせるため、今から、次世代、次次世代のビジネスを徐々に根付かせていくことが求められる。日本にとって、ビジネスチャンス到来だ。

すなわち、中東諸国全体を見渡せば、原油に代わる産業の振興が必要だろう。雇用を増やし維持するには、資源国から脱皮する必要がある。また人口増大に対応するインフラ整備も待ったなしだ。更に医療システムの充実も求められる。これらすべて、日本企業に可能なものばかりだ。

また、アラブ諸国では、日本の商品は、自動車、家電、機械等、高く評価されている。それなのに、日本企業はビジネスとしては中国、韓国等に遅れている。価格面で負けているからだ。日本としては、競争しない戦略も求められる。すなわち日本らしさの輸出だ。特に高齢者、女性市場は有望市場だろう。ビジネスを成功させるには、現地化を進め、現地マーケティングセンター、商品開発センター、人材育成センター等を作る必要があるだろう。

以上。

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