« 吉野の仙女~万葉集より | トップページ | 『神戸の抽象画 BLUE』(神戸ゆかりの美術館)を鑑賞 »

2013年1月30日 (水)

『型絵染 三代澤本寿展』(神戸ファッション美術館)を鑑賞

現在、神戸ファッション美術館で開催されている『型絵染 三代澤本寿展』を鑑賞してきた。久しぶりに神戸ファッション美術館に寄ってみたところ、上記の展覧会が催されていた。染織工芸には、それほど興味がなかったのだが、鑑賞してみると、なかなか面白かった。

そもそも染色工芸家、三代澤本寿について全く知識がなかった。パンフレットによると1909年生まれで、2002年に亡くなっている。長野県松本市出身で、芹沢銈介との出会いで、型絵染の道に入った。人生、確かに出会いが左右することは間違いなかろう。誰もが、そのように宿命と運命が絡み合う。

彼の場合は、更に、柳宗悦との出会いにより、民芸思想に触れ、暮らしの中の美を見出し、向上させていくことに目覚める。そして、そのやり方は、一貫生産。図案考案から始まり、染めに至る全ての工程をこなす型絵染の技法により、様々な作品を生みだしていく。

完成されたものを自ら作り出していくことに喜びを覚えたのであろう。ビジネスでは大きくすることは難しいが、芸術や工芸の分野では、むしろそれが尊ばれる。全てに目を通すという完璧を目指したのだろう。

実際、展示されている作品を看ると、素人目に見ても素晴らしいものばかり。題材は多岐に富む。圧倒される。アイデアの源泉は一体何なのだろうか。作家は、自ら手をかけて作ることから、手が覚えていく作品になりやすいものだが、その着想は桁外れ。理由はいろいろあるだろうが、日本だけにとどまらず世界の文化に触れ、自らを刺激していったのだろう。

更に図案の構想力が優れていると思う。大胆な構図の中に、「ある意図」が隠されているようだ。それは受け手により感じ方は異なるかもしれない。だが、部分の構成は緻密だ。残念ながら、この美術館で展示するには、空間がやや狭い感じ。それが残念だった。

なぜなら、彼の作品は、近くで観るのと少し離れて観るのでは、受ける感じが異なる。すなわち、近くで観ないと分らないことがあるのだが、遠くから観ると、また違った意味が隠されているように見える不思議な構成のものが多い。

それは着物のデザインも手掛けられた結果かもしれない。もちろん、そのようなものばかりではなく、写実的なものもあるが、そのままでは描かれていない。全て、ひとひねりある。具象と抽象の合体と言うべきか。

しかしながら、そんな理屈なしでも、結構楽しめる。流風の個人的印象だが、染織工芸に興味のない方でも、十分鑑賞する価値はあるだろう。入場料は一般が500円だが、着物(和装)で行くと無料らしい。もう一度鑑賞したいが、残念ながら和服は持ち合わせていない。もう一度行く時も料金を払うことになるだろう。2013年4月2日まで。

|

« 吉野の仙女~万葉集より | トップページ | 『神戸の抽象画 BLUE』(神戸ゆかりの美術館)を鑑賞 »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 吉野の仙女~万葉集より | トップページ | 『神戸の抽象画 BLUE』(神戸ゆかりの美術館)を鑑賞 »