つまみ食い文化
百貨店の食品売り場に行くと、チョコレート売り場は毎年のように盛況だ。若い人たちだけでなく、いろんな世代の人々が集まっている。バレンタインデーは、キリスト教文化の一つだと思うが、日本のチョコレート会社が考えた販促はバレンタインデー文化になり、NHKが特集するほどに日本に定着してしまった。
最早、チョコレート会社の一年分の稼ぎが、この時期にかかっていると言うから、ビジネスとしては成功したことになるのだろう。更に海外のチョコレート会社も注目せざるを得ない状況だ。有名なゴディバ以外にも、いろんな欧州のメーカーが売り込みに熱心だ。
これは日本の商魂逞しい企業の成果とも言える。商売のためなら、何でもネタにしてしまう。本来の宗教行事も日本的に拡大解釈して拡散させていく。そもそも、キリスト教徒でもないのに、教会で結婚式を挙げるも、本来はおかしいのに、普及してしまったし、先日の節分の恵方巻にしても、日頃は恵方など気にしないのに、迷信を利用して、ビジネスにしてしまう。
クリスマスにしてもそうだろう。本来、キリストの降誕なんて全く関心はない。ひたすら西欧文化への憧れと、異文化から来る新鮮さから、取り入れたに過ぎない。
またハロウィンも、本来ケルト人の土着文化だが、米国から取り入れている。これはキリスト教とは関係なく、むしろ日本の多神教に通ずるものがあるが、多くの人々は、そんなことには関心はなく、ただ、かぼちゃをくりぬくデザインを面白おかしくして楽しんでいる。神戸のルミナリエも、本来、震災の鎮魂としてはおかしいのだが、単に光のデザインが面白いから取り入れている。今では、鎮魂の意味は薄く、観光化している。
この、つまみ食い文化は古くは雑食文化とも言われてきた。何でも柔軟に取り入れ、日本的に練り直して、日本化しバージョンアップする。それが、あらゆる文化の基にになっていく。いい悪いは別にして、日本は、これからも世界の文化を柔軟につまみ食いしていくことだろう。
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