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2013年2月19日 (火)

真間娘子のこと~万葉集より その二

真間娘子については、万葉集巻三で、山部赤人も歌にしている。題は、「勝鹿の真間娘子が墓を過ぐる時に、山部宿禰赤人が作る歌一首」となっている。

 いにしへの ありけむ人の 倭文機の

 帯解き交へて 伏屋立て 妻どひしけむ

 勝鹿の 真間の葉や 茂りたるらむ

 松が根や 遠く久しき 言のみも

 名のみも 名のみも我れは

 忘らゆましじ

解釈は、「昔、この辺の、ある男が、妻問いし、簡単な寝屋を設けて、粗末な帯を解きあい愛しあった女性が、真間の娘子だった。彼女の墓はここだと伝え聞くが、槇の葉が茂っているからそう言うのだろうか、松の根が古く生い茂っているから、そう言うのだろうか。ただ、昔からの言い伝えだけでも、私は彼女のことを忘れることはできない」と、なるのだろうか。でも、解釈していくと、山部赤人が自分の失恋相手と重ねているようにも感じられる。うがち過ぎかな(笑)。

反歌は二首あり、次のようになっている。

 我も見つ 人にも告げむ 勝鹿の

   真間の手児名が 奥つ城ところ

解釈は、「私は勝鹿の真間の墓を見て確認したと言える。人にも、ここが墓だと伝えるだろう」ぐらいかな。はっきりと確認できたわけでもないのに、その地に立った雰囲気から、彼女の墓所を、赤人に思い込ませる。昔に思いを馳せると、そういうことになるのかもしれない。

続いての反歌。

 勝鹿の 真間の入江に うち靡く

   玉藻刈りけむ 手児名し思ほゆ

解釈の必要はなかろうが、蛇足で記すと、「勝鹿の真間の入江で波に洗われている、藻を刈った娘子のことが偲ばれる」くらい。ただ、イメージとしては、娘子が真間の入江の海岸に立っている様子を想像しているとも思われる。

果たして、伝説の真間娘子は、どんな女性だったのだろうか。虫麻呂も赤人も両方とも歌人は男。手の届かない女性に対しては、男の空想は妄想を呼び、イメージは大きく膨らむ典型かもしれない(笑)。

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