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2013年5月 4日 (土)

人材の促成栽培と銃後の備え

最近、人材の使い捨てをする企業を「ブラック企業」と呼ぶらしい。昔から、大量に採用して、大量に辞めていく企業はあった。いわゆる離職率が高く、結果的に定着率の悪い企業だ。賃金水準の高さにつられて入社したものの、入社してみて、労働条件がきついので、音を上げる例が多かった。

それは一般的に、人材が不足しており、人事・労務システムの確立していない中堅企業や中小企業に多かった。人材がいないから、若い人でも、管理者になれるが、経験がないと組織や社外の組織を十分に使いこなせないから、その苦労も多い。ただ、そうすることによって、大企業の人材より、いろんな経験を早く積むことができるので、人材の促成栽培は可能とされた。

もちろん、誰でも彼でも、人材の促成栽培に対応できるものでもない。基本的に、仕事をこなすには、持ち時間が足りなくなるので、仕事がうまく行っている時はいいが、うまく行かなくなると、私生活が心身共に乱れがちになる。結果的に、健康を害する例も見られる。

よって、人材の促成栽培に対応できる人材は、結婚していて、家庭のことや食事のことに余計な心配のいらない人ということになる。ところが、最近は、若くて結婚しない若者も多いし、結婚しても共働きが多いと、いわゆる昔の言葉で言うと「銃後の備え」は不十分になる。

止むなく、独身者を対象にすると、成果は様々な結果になり、安定しないから、本当は選んではいけないが、人材がいないから、選択せざるを得ない状況にある。また共働きをなくすには、男女どちらかの稼ぎで暮らしていける所得が必要だが、企業は、過剰に株主対応思考で利益優先になっているため、従業員の所得が伸びない。

こういうところから、大手でも、労働法規は最低限守りつつも、「ブラック企業」と言われる企業が存在することになる。これからは、「ブラック企業」と呼ばれる会社も、働く従業員の幸せに配慮(配偶者を持たせつつ、安定的な所得アップ)しつつ、利益も上げていく企業への転換が望まれる。そうしないと、やがて消費者からも、そっぽを向かれるだろう。

*追記

『菜根譚』の前集(210)には、次の言葉がある。経営者の頭の片隅に置いて欲しい。

「人を用うるには、宜しく刻なるべからず。刻なれば、則ち効を思う者も去る」

刻とは酷のこと。人を使うには、酷ではあってはいけないということ。酷な扱いをすれば、どんなに成果を上げようと思っている者も去っていく。企業は人によって成り立っていることを忘れてはならないだろう。

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