黒田長政の『掟書』を読むⅠ その一
黒田長政は、来年の大河ドラマの主人公・黒田官兵衛(如水)の息子で、筑前黒田藩の藩主になった人物だ。官兵衛は、長政は、天下を取る器ではないと思っていたが、長政は、決して無能の人物ではない。確かに、官兵衛のような、混乱した世の中で天下を賭けて勝負を挑むというような性分ではなかったが、平時での組織の運営では、立派なリーダーだったと言える。それゆえ、黒田藩は西国大名として、明治維新まで、続いた。
今回から何回か分けて、彼が亡くなる1年前くらいに書いたと伝えられる『掟書』を解釈してみたいと思う。この『掟書』は、息子や家臣団に示された遺言書に近い。彼が親の官兵衛の薫陶を受けたことも含めて、彼の人生のまとめと教訓に近い。それでは、その『掟書』を示してみよう。
国をたもつ主将は、格別之思慮なくしては叶ひがたし。
凡人と同じ様に心得べからず。
まず身の行儀作法正しくして、政道に私曲なく、万民を撫育すべし。
また我が好む事を慎み撰ぶべし。
主君のこのむ事を諸士もこのみ、百姓町人までも、もてあそぶもの也。
仮初の遊興たりとも、目に立たぬやうにして、四民の手本となること、片時も忘るべからず。
これらは、要するにトップリーダーの心構えを示している。トップは何かにつけて、一挙一動が注目される。一つの言動、一つの行いが、多くの人に影響を与える。よって、その影響力を考え、言葉を選んで発言し、行動も、同様に慎重にする必要がある。トップは、決して軽挙妄動してはならないと戒める。どこかの政治家に聞かせたいですな。
*注記
この『掟書』は、ある意味、黒田如水(官兵衛)が長政に、常々言い残したことを彼なりに付加解釈して、整理したものとも言える。よって、これらの多くの言葉は、官兵衛の言葉だとして紹介しているものもある。
次回に続く。
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