« 黒田長政の『掟書』を読むⅡ その六 | トップページ | 暑いのは好きだけれど、 »

2013年6月14日 (金)

黒田長政の『掟書』を読むⅡ その七

トップになると、段々と本当の事が伝わりにくくなる。そして、ついには「裸の王様」になってしまう。今回の『掟書』の内容は、それを防ぐ手立てとして記されている。少し長いが記しておく。

大国の主将は、君臣の礼儀のみ取繕ひて、定まりたる出仕の対面ばかりにては、たがひの善悪心底分明ならざるもの也。去によつて出仕の外、一ヶ月に両三度づつ、家老中ならびに小身の士たりとも、小分別も有る者を召し寄せ、咄(はなし)を催すべし。其節咄候事は、主人も聞捨、家老中も同前にして、伏蔵なく其時節の事を物語すべし。たがひに心底を残すべからず。

もし遺恨と成る事申出す者ありても、此の会の問答にをいては、君臣ともに少もいかり腹立べからず。或は主人の了簡の事、仕損じありて勘気を申付たる者の侘言等、其外何事によらず、主人へ申達し難き事を残さず語るべし。斯くの如くする事怠らざれば、諸士は勿論、万民の上までも委しく聞ふれて、毎事其善悪明白にはかりて、政道益に成る事多かるべし。

要するに、組織機構が形式主義に陥ると、誰も本音を話さず、建前だけの話になってしまう。そうなると、トップには、本当のことは何も伝わらず、トップの思いも、臣下のトップに対する思いも、分らなくなってしまう。

それを避けるためには、一般的な仕事以外に、無礼講の時間を設け、お互い本音で話し合おうと言うのである。封建時代に、極めて民主的な考え方を持っていたことが分かる。そして、その会では、思っていることを身分の上下関係なく、何を言ってもいい。また、それに対してお互い聞き捨てにし、、関係者は怒ってはならないとしている。

内容に関しては、仮に多少ピントが、外れていても、問題なしとし、とにかく、日頃思っていることを吐き出せと言っている。そして、これを常々やっておれば、誰も不満を持つことが無くなり、政道に適うものになるとしている。

*追記

このことについては、エピソードが残っており、ある時、臣下が、長政のことを徹底的に、こき下ろしたところ、さすがの長政も堪え切れず、少し顔色が変わった。そのことを指摘され、長政は慌てて、顔色を直したらしい。このことを見ても、黒田藩では、様々な意見が活発にやり取りされていたことが分る。風通しの良い組織は強い。このことは、現代の企業組織等あらゆる組織でも有用であろう。

|

« 黒田長政の『掟書』を読むⅡ その六 | トップページ | 暑いのは好きだけれど、 »

姫路と播磨」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 黒田長政の『掟書』を読むⅡ その六 | トップページ | 暑いのは好きだけれど、 »