« マイタケの話 | トップページ | 軽減税率を消費税10%時に導入とか »

2013年12月11日 (水)

ハウツー本は役に立つか~落語『指南書』

いつの頃からか、出版業界からハウツー本が本屋に溢れるようになった。流風も若い頃は、そういった本(主として経営書)を読み漁ったものだが、ある日、父から、「こういう本を読んでいては、世の中の物事の本質は理解できない。一体全体、お前は大学で何を学んだのか」と叱責された。

確かに、学校では哲学、歴史、考え方などを主に学ぶべきだろうが、現在のカリキュラムは、目先の技術論に終始し、そのようになっていない。当時、大学では一般教養はあったが、多くの学生は軽視していた。流風も、その一人であったかもしれない。結局、社会人になってから学び直した苦い記憶がある。

さて、それでも、世の中の荒波に揉まれて、各種障害にぶち当たると、人は微かな手立てを求めて、ハウツー本に頼りたい時もある。そういうことを題材にして暗喩を込めた落語がある。それが『指南書』というもの。大阪の大店(おおだな)の息子が、両親が変死し、気がおかしくなって、高野山に預けられるところから始まる。

その当時、高野山には名僧がいて、彼が指導するうちに、ようよう心も静まり、僧は一冊の本を与える。そして、「お前さんは、商家の出だけに出家には向きそうにない。やはり、これからは下山して親の商売を継いで商人になりなされ。そこで、今後の迷いを解く指南書を差し上げるから、時に臨んで、この書を開いて、善悪吉兆を判断しなさい」と言う。

そこで息子は下山し、家に戻り妻を迎えて、店も繁盛するようになる。それからいろんな場面で指南書を頼りに危機を乗り越えていくというもの。指南書が、すばりずばりと当るのは本当はおかしい気もするが、生きていれば、そういうこともあるかもしれない。

誰でも人生の岐路に立った時、判断に迷う。その時、どうしても判断に迫られた時、人は何を拠り所に判断するのだろう。人生観か経験か。人は指南書に頼っているようで、基本的には自分で判断している。判断基準は自分で作るしかないと思う。それには、やはり基本哲学とか歴史の学習は欠かせない。

|

« マイタケの話 | トップページ | 軽減税率を消費税10%時に導入とか »

古典文学・演芸」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« マイタケの話 | トップページ | 軽減税率を消費税10%時に導入とか »