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2013年12月17日 (火)

骸骨を乞う話

隣国は粛清が吹き荒れているようだが、権力者という者は、常に不安ということを表している。つまり臣下を信用して信用せずの態度で接すると、ちょっとしたことで、バランスを崩してしまう。これは歴史が証明している。

項羽は、智略に優れ、文化も深く理解する人であったが、気が短く、早合点する欠点を持っていた。当時、漢王の劉邦と戦っていたが、漢軍は食糧が不足して危機的状況であった。そこで項羽が、父に次ぐ者として高く評価していた范増は、和睦しようとする項羽に反対して、今こそ劉邦を討ち取るべきだと進言。

項羽も、范増の進言を受けて、その気になる。それで困ったのが、劉邦側。何とか、この苦境を乗り越える策はないものか。そこで劉邦に献策したのが、もとは項羽の下にいて劉邦に走った陳平という人物。項羽の性格を利用して、項羽と范増の離間策を企む。

すなわち、「范増は、その評価に不満で、漢に通じている」という噂を流す。それで動じた項羽は范増に内緒で劉邦側に使者を出すと、劉邦側は、これを厚くもてなす。そして「范増様はお元気ですか」と問う。これには使者も、むっとして「項王の使者で来たのに何と言うことを」言うと、陳平は「これはこれは、范増の使者と思っていましたのに」と言い、出していた料理を引っ込め、粗末な料理に代えて、自分は席を立ってしまう。

使者が帰って、項羽に、これを伝えると、項羽は、范増は劉邦に内通していると判断し、彼の権力を奪う。これに対して、范増は怒り、「我は骸骨を乞いて、民間に埋もれる」と言って、田舎に帰ろうとするが、あまりの怒りで、背中にでき物ができて、そのまま亡くなってしまう。これで、項羽は智将を失い、天下取りが危うくなってしまうという有名な話だ。

骸骨を乞うとは、現代では、ほとんど使われない。臣下が主君に身を捧げているが、せめて、亡骸は返して欲しいということ。転じて、辞職することを意味する。かの国の指導者はは、臣下の亡骸も燃やしてしまったようだが、怒りを抑えることもできず、度を越している。誰かに利用されているもしれないのに、危ない、危ない。

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