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2014年1月27日 (月)

従業員の心の闇

冷凍食品の農薬混入事件は、日本人にとってショッキングな出来事だった。6年くらい前に、中国で製造された毒入りギョーザ事件が起った時、日本では決して起らないと多くの人が感じていたのに、今回、似たような事件が国内で起きてしまった。

報道によると事件を起こした男は、契約社員だそうだ。要するに非正規社員。確か中国での犯人も非正規社員だったと思う。彼らは身分保証が無く不安定な状況下で仕事をしている。そこには、不安定な心を反映して、心の闇を生じやすい。

また、この社員は、8年以上も勤めたのに、ずっと契約社員だったという。正社員との報酬格差があり、不満が年々拡大していった可能性もある。更に評価の仕組みが変わり、年功から実力主義に変更したことが不満を強めたようだ。職人の世界で出来高制は昔からあるが、生産ラインのようなものは、実力主義は難しい。

製造業で、人を「モノ」扱いすれば、企業は強いしっぺ返しを受けるということだろう。もちろん、多くの人は、不満を持っても、それを実行に移す人はいない。考え方や生活態度に問題があったとも考えられる。彼が行った犯罪は決して許されるものではない。

多くの消費者が健康被害に遭い、企業業績は悪化する。そのため、その他の従業員がリストラされるかもしれない。職を失う人が出てくる可能性が高い。ふと魔がさしたのかもしれないが、被害は甚大だ。当然、彼が失うものも、計り知れない。

ただ消費者も考えなければならない。便利で安いものを追い求め過ぎてはいないか。そうしたことが、回りまわって、非正規社員を増やす要因になってはいないか。人が生活するには、コストダウンは限界がある。彼らに犠牲を強いてはいけないだろう。

また非正規社員の最低賃金法を確立させるべきかもしれない。昔は、非正規社員の賃金は、当該業務の正社員の、ほぼ倍かかると言われた(企業が社会保障の面で負担が無かったから)。ところが、現在は、その水準をはるかに下回っている。そのようにすれば、中小企業は成り立たないというけれど、それか成り立つような社会にする必要があるのではないだろうか。

単に犯罪という問題に留めず、社会問題として、何をすべきか、多くの人々が考える必要があると思う。そして、心の闇は、何も問題を起こした社員に留まらない。誰しも心の闇を抱えるが、じっと耐えているのが実態だろう。経営者は見えない心、声なき声に十分配慮することを忘れてはならないだろう。

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