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2014年5月31日 (土)

TPPは農村を荒廃させる罠か

日米のTPP交渉後、米国の担当者は議会で高笑いしていた。それほど米国に有利な妥協を引き出せたということだろう。交渉内容は秘密ということだが、頭隠して尻隠さずの態。裏を返せば、日本はTPP敗北は明らか。自民党はTPPに反対していたのに、方針を無視して交渉に臨み、米国にやりたいようにやられている。米国の交渉担当者は米国の食糧会社の手先みたいなものだから、食糧会社は、しめしめと薄笑いを浮かべていることだろう。

こうしてみてくると、TPPは何かと話題になり、是非の議論は国内でもあるが、はっきり言えば、米国の食糧戦略の一環だろう。すなわち、食糧を押えることで世界の国々の首根っこを押さえようという戦略だ。そして、それは、その対象に同盟国の日本も含まれているということだ。

彼らの戦略は、貿易自由化という名の下に、相手国の農畜産品価格を、まず引き下げさせる。そうなれば、相手国の農畜産業は価格競争で厳しくなる。当然、対策を考える。それは価格対応する方法と付加価値を高める方法だ。付加価値を高める方法は、ある程度、有効だが、市場には限界がある。

そこで、例えば、農業では、生産方法を効率化させスピードアップする「うまい方法があるよ」と悪魔の誘い水をかける。それが遺伝子組み換え種子(GM種子)。それを使えば、機械化により生産効率は倍増するとか、農薬使用量を激減させられるとかアピールする。ただし、それには特別の除草剤が必要だ。

ところが、遺伝子組み換え農産物を生産すれば、特殊な除草剤を使うため、その他の農産物は生産できない。それに農産物の市場価格が上がってくれればいいが、逆に大量生産により引き下げられる傾向がある。このことが生産者を苦しめることになる。更に、追い打ちをかけるように、種子会社は初めは、GM種子を安く提供するが、普及すれば価格を引き上げる。そこで農業者は破綻し、農地は荒廃する(*注)。それは畜産も同様だ。

農畜産家の方々は、TPPによって安い農畜産物が国内に入ってきても、現象に惑わされず、慎重に対応する必要があるだろう。まず言えることは、安易なことには手を出さず、消費者と密接なコミュニケーションを取ることだろう。そうすれば無理なことをしなくても道は開ける。

*注

この現象は、既に農業国で生じており、多くの農業者を苦しめている。また遺伝子組み換え農産物の摂取は人体に悪影響があるのかどうかは、長い時間をかけないと分らないが、動物実験では既に悪影響があるとされる。しかしながら極端な実験のため是非が分れている。ただ、自然界に存在しない、この農産物は、一種のサプリメントと捉えることもできる。よって、定期的な摂取は、他のサプリメント同様、人体に悪影響する可能性は否定できない。

*追記

日本の農畜産業も現状のままでは駄目なことは分っている。ただ海外の農畜産物と価格競争する発想は避けたい。国は流入する海外の農畜産物の品質基準チェックを強化すると共に、棲み分けを考えるべきだろう。よって無駄な競争をしない発想も求められる。すなわち全てが大規模化による効率化ではなくて、競争しない多様化だ。そして、他の産業同様に、品質の高さの維持だろう。

*参考

米国の行き過ぎた自由主義・資本主義は米国内で、大きな格差を生んでおり、1%の人々が経済を牛耳っているという。彼らに搾取された人々は、困難に直面している。まさに、そういうシステムを海外にも強要しようとしている。これらの行き過ぎたやり方は、貧困の輸出政策として、やがて世界を混乱に陥れ、反米感情を高めるだろう。米国の貧困化については、次の書籍に詳しい。

 堤未果 著 『(株)貧困大国アメリカ』(岩波新書刊)

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