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2014年7月24日 (木)

爺捨山の話

以前、姥捨山のことを取り上げたが、地域により、爺捨山と云う物語も各地にある。物語と言うより説話に近いかもしれない。元々の話は、中国の故事だと思うが、出典は思い出せない。ただ、話の筋は、姥捨て山が叔母と妻の揉め事であるのに対して、爺捨山の方は、或る国の殿様が老人を嫌うことから始まる。

この殿様は、老人が嫌いだから、老人たちを山に捨てに行けと命令する。はてさて、現代でも、そういうことは起るのだろうか。財政再建厳しい折、老人たちが蔓延り、年金、医療、介護で、国家予算はパンクするから、老人たちは、「山」に捨てよと言われたら、流風、どうしよう(苦笑)。

現実にあり得ないことでもない。既に年金はカットされているし、医療も今後、高い負担を強いられ、確実に受診できないかもしれない。介護も皆受けられる保証はない。歴史的に、いつの時代も、老人が多過ぎると無事ではいられないのかもしれないと思うと、憂鬱だ。

さて、話の方は、殿様から、爺さんを捨てよと命令が来るが、孝行息子は、それができずに、爺さんを分らないところに隠す。食事だけは何とか渡して、爺さんは生き延びた。

ところで、この国に隣国から無理難題を吹っ掛けられる。解けないと侵略するぞと脅してくる。だが、誰もなかなか解けない。そのことを知った孝行息子は爺さんに相談すると、難なく回答する。その答えを殿様に伝え、一応解決するが、隣国は次々と難題を課す(難題は、子どもにも分るような、なぞなぞか多い)。

そのたびごとに、息子は爺さんに相談すると、たちまちに解決して、殿様に伝えると、さすがに隣国の殿様も、「あの国には賢者がいる。このような国に攻め込むと、却って、わが国がやられてしまう。隣国とは友好的にしておいた方がよさそうだ」となった。

殿様は、全ての難題を解決した孝行息子を呼び出し、褒めて、何でも欲しいものを望めと言うと、息子が言うには、「実は、これこれのことは全て隠しておいた爺が教えてくれた。家に置くことを、お許し願いたい」と申し述べた。殿様は、これまでの愚かさを恥じ、これまで山に捨てられた爺さんたちを皆、許し、息子には、たくさんの褒美を与えたとさ、という話だ。

それでは、現代に於いて、爺たちは知恵者たりうるか、という問題はあるにしても、長い人生経験から得ていることも多い。ただ、爺たちに知恵を聞きに来る「孝行息子」は、どこにいるのか。そして、仮に建言して、為政者は、耳を傾けるのか、という問題がある。この話も、色々考えさせてくれる。

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