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2014年8月 5日 (火)

嘘による化かし合い・狂言『鱸包丁』

久しぶりに狂言を取り上げてみよう。それが『鱸(すずき)包丁』。鱸は難しい字だ。鱸は、セイゴが成長したもので高級魚。セイゴの方は、父が、魚釣りで、よく釣っていたような記憶がある。昔は関西でよく食べられていたようだが、最近は口にしていないと思う。

話は伏見に住む伯父と淀に住む甥の嘘の化かし合いというもの。尤も、伯父の嘘は、甥の嘘に対応したもの。伯父に宴会用にと鯉を頼まれていた甥は、忘れてしまって、督促されると、まだ買っていないという言い訳に、鯉を生かしておこうと淀川の橋のたもとに繋いでいたところ、川獺(カワウソ)に食べられてしまったと、極めて下手な言い訳をする。

当然、嘘と気付いた伯父は、それならと口先で御馳走することを思いつく。甥に鱸の料理の好みを聞いて、打ち身(刺身)を希望するので、鯛や鯉であるべきだと講釈を垂れ、打ち身の故事を語って聞かせる。その後、鱸を煮魚、膾(なます)料理iにし、銘酒を振舞い、更に濃茶まで点てた様子を語り、甥には帰るように言う。

驚いた甥は、料理を頂いたら、そうしましょうと言うと、伯父は、こうして、もてなしいやりたいが、鯉を川獺が食べてしまったように、鱸も謀生(ぼうじょう。嘘のこと*注)という虫が食べてしまったと叱りつけて終演。

忘れていたことを偽り嘘をつく。子供時代を思い出すなあ(笑)。言い訳をすればするほど、嘘は大きくなっていく。とどのつまりは、皆にバレバレ。辻褄の合わない話は、最近も、どこかの県会議員たちが起こしている。

*注

謀生(ぼうじょう)は聞きなれない言葉で、辞書にもない。解説書には、「嘘」と説明してある。中国語かと思ったが、言葉はあるが意味が違う(「生を謀る、という意味らしい)。となると、文字から察するに、「謀(はかりごと)から生まれた」の意味だろうか。それなら嘘に通ずる。

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