« 最近の怪しい株価 2014年12月 | トップページ | 面白かった大河ドラマ『軍師官兵衛』 »

2014年12月20日 (土)

『日本国憲法を生んだ密室の九日間』読了

鈴木昭典著『日本国憲法を生んだ密室の九日間』(角川ソフィア文庫刊)を先日、読了した。この本は、1995年5月に、創元社から刊行された単行本に加筆修正されたものらしいが、単行本は読んでいないので新鮮であった。日本国憲法を作るに当たり、関係者がどういう思いで臨んだが示されている。

日本国憲法の成り立ちについては、断片的には、いろいろ聞いて知っていたが、具体的には知らなかったので日本国憲法を考える上で、十分に参考になった。保守派の人々からは与えられた憲法であるがゆえに、自主憲法として改憲が必要と言っているが、その論法は正しいことなのか。国民としては、改憲問題を考える上で、まず日本国憲法の成り立ちを知る上で、好い書籍だと思う。

読後感としては、次のことが示される

一、戦後、米国の占領軍は、相当程度の被害を想定していたが、天皇の終戦宣言の下、人々は水が引くように矛を収めていったことが、まず大きな驚きであった。マッカーサー将軍は、昭和天皇と面会し、その人柄に触れ、この人を守らなければ、大変なことになると覚悟した。

二、ただ戦勝国側(極東委員会)には、天皇を戦犯にするべきだという意見が強くあった。よって彼らを納得させる斬新な開かれた国民主権を謳った自主憲法の制定が急がれた。当初、日本国側に憲法試案を促したが、それは依然として国家主義的なものであり、全く民主主義というものを理解しておらず、とても容認できるようなものではなかった。

三、ただ、残された時間はなかった。そこで、マッカーサーは、一部の関係者を通じて極秘に憲法草案を作らせる。その中で、一部民主主義を理解している学者による日本の憲法調査会の案を取り入れたりしている。

四、戦勝国側を納得させる憲法の内容の壺は、天皇を「象徴」として位置づけ、彼を利用する勢力から切り離すこと、民主主義の基本である主権在民とすること、(侵略を目的とした)戦争を放棄すること、男女平等などてあった。ただし、侵略戦争は放棄させるが、言外に自衛権は認めた。

大体の内容は以上のものだろう。現在、改憲で問題になるのは、四、の「自衛権」の範囲だ。個別的自衛権だけか、集団的自衛権(*注)もかということ。もう一つは、自民党が示している憲法改正案は、民主主義の基本である「主権在民(国民主義)」ではなく、「国家主義」であること。これは戦前の先祖返りではないかと批判されている。この事に関しては、米国も強く懸念していると言われる。

いずれにせよ、この書籍は多くの方が読まれることを勧めたい。

*注

集団的自衛権は過去の海外の事例で考えると、侵略戦争の口実になっている。よって、これは憲法に反するという考えも成り立つ。

*追記

藤田尚徳著『侍従長の回想』(講談社学術文庫)を併せて読むと、昭和天皇の憂いと戦後の状況がよく分かる。

|

« 最近の怪しい株価 2014年12月 | トップページ | 面白かった大河ドラマ『軍師官兵衛』 »

マスコミ評論及び各種書評」カテゴリの記事

経済・政治・国際」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 最近の怪しい株価 2014年12月 | トップページ | 面白かった大河ドラマ『軍師官兵衛』 »