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2014年12月24日 (水)

最早、賃金アップの時代ではない

安倍首相が産業界に対して、賃金アップを要請したニュースが流れるが、なかなか難しいと思う。国内の製造業でも、全てが全て労使交渉で賃金が決められる時代ではない。かつて日本で製造し、輸出を展開した時代は、従業員も企業への利益貢献は明らかだった。だが、今は海外の子会社等で製造し、そこから内外に輸出する形が多い。

国内を見れば、産業はサービス化しており、自ずと付加価値には限界がある。人が人に対してサービスを提供して得る付加価値には限界があるからだ。また人材も、経験とか年齢で必ずしも評価されるわけではないので、給与体系も年功序列とはなりにくい。

すなわち、賃金・給与体系は、年を重ねても、そんなに上がらないというのが実態だ。大袈裟に言えば、年齢に関係なく、給与はフラットになりつつある。差が出るのは、各種手当とボーナスということになるが、これは企業余剰がどれくらい出てくるかによる。後は分配のルールだけだ。

要するに、働かざるもの食うべからずと言うが、最近の日本企業に於いては、サービス業に限らず、利益に貢献せざる者、報酬得るべからずとなる。よって、ボーナスの利益分配率は、内部留保や配当に重きが置かれ、社員への配分は、少なくなりがちだ。要するに、いかにボーナスをたくさんもらうために働くかということになる。

結果的に、正社員にしても、収入はボーナスに左右されるわけだから、ボーナスをあてにした生活は成り立たない。例えば、住宅ローンでも、ボーナスを組み込んだ返済計画はリスクが大きい(*注)。よって生活設計そのものを改めなければならない。

更に、非正規社員は、ボーナスにあずかることはない。結局、低賃金のままで生活は苦しくなるわけだ。この傾向は、なかなか止められない。これは長期的には社会不安を呼ぶ。先進諸国では、すでに、その兆候が出ているし、日本もアベノミクスを推進すれば、余計にそうなる。

企業は、サービス化に伴って、正社員を増やし、サービス化に相応しい賃金体系に見直すべきだろう。社会不安を無くすには、正社員を増やすしかない。但し、正社員を増やしても、総賃金額が増えないように賃金体系を再設計することが必要で、国も正社員化後押しすべきだろう。

つまり最早、労使交渉による賃金アップの時代ではないし、まして国から賃金アップを勧告する必要もない。国として、せいぜい出来ることは、、企業に賃金体系の見直しを促し、同時に最低賃金の引き上げを実行するぐらいだ。その上で、所得差が拡大するので、所得再分配の強化をするしかない。

そんなことをすれば、高所得者は海外に逃げると懸念する向きもあるが、海外に逃げても、やがて、もっときつい課徴金等が待ち受ける時代になるだろう。先進各国はどこも、目を皿のようにして、税収源や課徴金対象を探しているからだ。

*注

現在の住宅ローン破綻率は、大体年2~3%と推定されるが、旧来の感覚で住宅ローンを組み続ければ、破綻率は急増する可能性がある。段々、住宅ローンを組んで住宅を購入する時代ではなくなりつつあることを忘れてはならない。

*追記

基本的に国が自由主義政策を推し進めれば進めるほど、社会主義政策を採って、バランスをとるしかない。国の発展は必要だが、社会が壊れてしまっては、元も子もない。所得税や相続税の累進課税もやむを得ない。要するに、バブル以前の戦後の税率体系に戻せばいい。

*追記

なお公務員も、本来、サービス業なので、年功序列賃金を廃し、フラットな俸給体系にすることが早急に求められる。情報サービスシステムが浸透しているのに旧来のシステムに拘る必要はない。無駄な支出を増やすだけだ。財政再建には、俸給体系の変更は必須だ。

*注記

本記事は、マクロ的な見解で、個別企業では、それぞれ状態が異なる。賃上げができる企業は、賃上げしたら好い。国内の現業比率の高い製造業で成果を上げているところは、無理やり、サービス賃金体系に変更すべきではないだろう。そんなことをすれば、却って、組織が乱れる。

*平成27年1月6日追記

お騒がせ経済学者が「正社員をなくそう」と暴言を吐いているようだ。そもそも非正規の経験もない学者が言うべきではないだろう。彼は、どちらかというと、魂を売った売国奴学者と言われても仕方ないほど、程度の低い学者。こういう人の言説が、世論を惑わせている。

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