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2015年1月19日 (月)

銃撃事件と移民問題

他宗教をからかう風刺漫画表現という言論の自由と、それを好ましくないとする「イスラム原理主義過激派」によるフランスの銃撃事件が問題になって、ヨーロッパ全土に拡大しつつあるようだ。この根本的な原因は、問題は単純ではないが(*注)、基本的には移民問題と歴史的な問題だろう。以下、テロは決して容認できないが、私なりに理解していることを整理しておこうと思う。

移民問題は、ヨーロッパが中途半端に、文化の異なるイスラムの人々を移民させたことだろう。日本では、郷に入れば郷に従え、という言葉があるが、イスラムの人々は、概して、宗教のしきたりに厳格で、同化しない傾向が大きな問題であろう。そういうことに、欧州の人々は反発する。

だが、移民を受け入れる時に、そのような文化の違いというリスクが果たして検討されたのか。安易に安い労働力を期待して移民させたのではなかろうか。これは、米国が黒人奴隷としてアフリカから連れてきた問題と似ている。実際、米国では黒人を大統領に選んでも、黒人差別が厳然と残る。問題の根は人種差別であろう。

欧州と中東は、地理的にも近く、昔から争いがあった。歴史的に攻防があったことが事情を複雑にさせる。欧州は、ずっと中東を差別的に見ている。戦前は、英仏が、中東を自らの都合で分割した。この事に対しては、イスラムだけではなく、アラブ全体として、心理的に抵抗がある。

そして、このことは、常に欧州の人々は、彼らより一段も二段も上にあるという意識を持たせた。これはかつてドイツが、ユダヤの人々を排斥したことと似ている。欧州に、イスラムに対する差別意識がある限り、今後も、各種トラブルは発生するだろう。

これらと違った視点を挙げれば、豊かだが落ち目の欧州と、人口が増えているが貧しい中東イスラムの人々の争いという見方もできる。これは時代性ということもできる。人口興隆する時は、色々問題を起こしやすい。

人口が増える地域というものは、何かと問題を抱えているが、内部にエネルギーは蓄えている。それはちょっとしたことで爆発する。今回のフランスの風刺画は、まさに、それを刺激したということだろう。

今回、風刺画という言論の自由をマスコミは囃したてるが、ネット社会の今日、世界の状況を把握して、発信するのが、マスコミの責任でもある。その点、フランスの風刺画は、若干、荒っぽいし、お気楽過ぎる。知識人の行いとは思えず、差別意識の下、大衆迎合的な思慮が浅い感じがする。

あるいは、そのことが分っていてやったとすれば、悪質で、背後にテロを誘発させる暗い影があったと疑われても仕方ない。テロ行為は許されないが、いくら言論の自由と言っても、気分を害する人たちがいるのだから、やり過ぎることは問題だろう。

更に、それを利用してやろうという人々の企みに利用されかねない。ネット時代の発信は難しいことを考えさせる。でも、自由に発信でき、それらを誰もが余裕を持って受け止められる社会が望ましいのは言うまでもない。それには、まず相互理解が必要だろう。

*注

ここでは、過激派組織「イスラム国」については論及しない。また黒幕が誰であるかも、色々噂はあっても、一般人には明確に分らない。ただ、複雑な背景があるのは確かなようである。

*追記

日本でも、人口減少問題から、移民を受け入れるかどうか議論になっている。しかしながら、欧米諸国家の移民の失敗を見ると、移民については、十分な検討と配慮が必要だろうし、国民の意識にも目配りする必要がある。安易な移民は、国を混乱させる。国も国民も受け入れる相当の覚悟が無い限り、移民はトラブルの元だ。

もちろん、移民を全否定するつもりはない。但し、きちんと人権を認めた上での移民が必要で、彼らも日本文化(日本語)を理解していることが条件だ。また日本文化に馴染むには、第一次産業での就労が無理ないものと思われる。

*2014年1月22日追記

安倍首相の中東歴訪時の軽率な発言で、彼らに捕らわれている日本人二人が危機に陥っているようだ。彼にしろ、副総理にしろ、言葉が軽すぎる。日本のトップの発言は、世界の誰も注視しているのであり、言葉は選ばなくてはならない。最悪の場合、退陣もありうる。

また東京新聞が、例の風刺漫画を掲載して、イスラムの人々から抗議を受けていると言う。何と軽率な。タイミングが悪すぎる。言論の自由をはき違えている。

*2015年1月26日追記

残念なことだが、ついに日本人の人質一人が殺されてしまった。国は、ビジネスに惑わされて、彼らを危機に陥れたが、もう一人も、どうなるか分らない。また政府の人質解放交渉はヨルダンルートだけで果たして解決するのか。大いに疑問だ。一部識者が指摘するように、トルコルート等の検討は外せない。

(2月1日追記)

結局、政府及び外務省は、「イスラム国」から見れば敵国のヨルダンルートだけにこだわり、失敗した。「イスラム国」をよく知る人物は、ヨルダンルートでは解決できないと言っていた。彼らを警戒したのかもしれないが、結果が出なければ何にもならない。責任者は救出できなかった責任を取る必要がある。

*2015年2月1日追記

ついに人質二人目の後藤氏も、イスラム国は殺害してしまったようだ。これは、最早、イスラム国は、大義のない、単なる殺人集団のようだ。政府の交渉に独善的で甘さがあったことは否めないが、彼らは暴走してしまった。死の商人をバックに持つと言われる彼らも、いずれ後悔するだろう。

これがターニングポイントになるかもしれない。二人の死を無駄にしてはならない。ただ、日本としては、引き続き、中東地域の貧困を解決するために、知恵を出すべきだろう。そして、それはお金を出して解決する問題ではないと政府も強く認識すべきだろう。

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