地域問題関係図書読了
人口減少で地域が消えるという論議が盛んだ。実際、地方都市の人口はどんどん減っているのも確かだ。そして、今も東京集中の流れは止まない。北陸新幹線開通で喜んでいる北陸の方々も、いずれ人が東京に流れて、こんなはずではなかったと思うようになるかもしれない。東京と繋がることは、一時的には経済的に好い作用があるが、徐々に地域の人々は東京に吸い取られていく。
では、どうすればいいか。一義的に結論は言えない。地域の事情はそれぞれ異なる。地方創生と言っても、国の一律の政策では、効果が出るどころか逆作用を引き起こす可能性も高い。結局、地域のことは地域をつぶさに見て、やるべきことをやるしかない。基本的に、地方に人材がいるかどうかに尽きる。人材がいないのなら、都市から呼び寄せて補完するのもいいだろう。
さて、先日、吉田正博著『消えない都市の条件』(幻冬舎)を読了した。著者は横浜市の公務員だったようだ。自らが行った「横浜モデル」の成功例を挙げながら、あるべき地方の有り方を論じている。ただ、言えるのは、横浜市が地方と言えるかどうか。そこからの発想には、限界があるが、一つの意見としては参考になるだろう。
今までに地域関係で、少し前に読んだものとしては、根本祐二著『「豊かな地域」はどこがちがうか』(ちくま新書)がある。この作品は、地域の11のケースを取り上げながら、客観的に分析している。地域の多様性を取り上げているので、自地域と比べながら、どうするべきか参考になる。
その他では、牧野知弘著『空き家問題』(祥伝社新書)、三浦展著『東京は郊外から消えていく!』(光文社新書)がある。それぞれの問題意識で、日本が抱える課題を抽出し、解決策を提言している。
これらから学べることは、地方は、やたら安易に東京圏と直接つながるのではなくて、独自の経済圏を創造することに主眼が置かれるべきということ。その発想が無いまま、東京圏と繋がっても、長期的に地方に未来はない。基本的に、小さいことであっても、地道に地域を、農業と同様に「開発し、耕し、肥料を与え、土づくりをして」、人々が集まり定住する仕組みを作ることが望まれる。
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