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2015年4月14日 (火)

『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢』を読了

先日、上野誠著『遣唐使 阿倍仲麻呂の夢』(角川選書)を読了した。阿倍仲麻呂と言えば、遣唐使で日本に帰れず、「天の原 ふりさけ見れば 春日なる みかさの山に いでし月かも」の歌一首だけが伝わる人だ。彼は、玄宗皇帝に寵愛され、高官にもなっている。日本のことを文化律令国家として高くアピールすることに成功した人物でもある。そう言った意味では、耶律楚材やサキャに似ていると言えないこともない。

著者の上野誠氏は関西ではよく知られた万葉学者だが、阿倍仲麻呂の生涯について記すのに、専門外の漢詩の注解、唐の制度にまで踏み込んで、挑戦して書かれた本だ。一般に、学者の方は、自分の専門外に対しては、述べたがらない。それは自分の分をよく理解されているからだろう。

よくテレビ等で、専門外のことについてコメンターとして出演している学者は、どちらかと言えば異端だ。専門外について、一家言持っているつもりだろうが、ありふれた意見か、頓珍漢な意見がほとんどだ。それゆえ、彼らは同業者から馬鹿にされることが多い(*注)。

それはご本人も、よく分っていらっしゃるようで、あとがきに、この本を書くのに、次の学問領域を理解しなければならなかったと記している。

 一、古代日本の士族文化の特質に対する知識

 二、日唐の制度史に対する知識

 三、唐代史全般に対する知識

 四、中国詩史を理解し、それを注解する知識

 五、東アジア外交史に対する知識

 六、平安期の和歌に対する知識

本書のために構想何年だったのだろうか。本書を通読すると、著者が学者になる前からの相当ずっと前からの関心事であったのではと思う。学者的に、分析的でありながら、読み物として読みやすく、一般の小説家が書く歴史物語とは、若干雰囲気を異にして、面白かった。著者にとっては、一仕事やり終えた感じかもしれないが、こういう内容なら、今後も、専門外に挑戦して欲しい気持ちだ。

*注

但し、テレビ等に出演する政治や経済の分野の専門家(学者、コンサルタント、エコノミスト、評論家等)は、自身の専門分野の話でも、その発言は随分と怪しい。我田引水的だし、誰かの指示で発言していると感じられる人も多い。学者の発言でも、必ずしも信用できない。

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