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2015年4月11日 (土)

『イスラム戦争(中東崩壊と欧米の敗北)』読了

最早、旧聞に属するかもしれないが、二人の日本人がIS(俗称イスラム国)に捕われて、殺されてしまった事件があった。その時の日本政府の対応は、いかにも「勝手な行動をしやがって。面倒なことだ」という雰囲気が強かった。しかしながら、海外で日本人が災難に巻き込まれれば、国は救助する責任がある。

だが、この時の政府や外務省の対応は、旧来のやり方を踏襲し、イスラムの事情を全く無視したものだった。その結果、ISに詳しい学者の言うことを無視して、外務省は、ヨルダンルートで「一応」解決しようとした。「一応」というのは、一般国民から見れば、単なるポーズに見えた。ヨルダンはISと戦っている当事者で、交渉国には本来、なりえないからだ。

政府や外務省には、一種の捉われががあったものと思う。それは相手が国でないからという言い訳であった。それが最悪の結果を引き起こしたと思う。相手が国であろうとなかろうと関係なく、日本人を救う使命感が欠けていたと言われても仕方ない。

それが如実に出ているのが、政府(首相)は、最初から身代金は支払わないと表明したが、そんな必要があったかどうか。捕われた二人は軽率であったかもしれないが、国際世論を気にし過ぎて、国民を守ることを放棄したように見えた。これを見て、一般国民は、ああ、国は国民を守ってくれないのだと判断するようになる。

さて、先日、内藤正典著『イスラム戦争(中東崩壊と欧米の敗北)』(集英社新書)を読了した。著者の内藤正典氏はイスラム地域研究家であり、イスラム教の学者ではない。よって、イスラムの状態を多面的に、事実に基づいて正確に記されているように思う。もちろん、彼の考え方に全てが全て同意できるものではない。

ただ、私達はもちろん、国や政府がイスラムについて、十分理解していない中、彼の著作は一読するに値する。現在、凡そ、世界は欧米の考え方に曝されているが、それが全て正しいわけでもない。地域には、それぞれ矛盾を孕みながらも、いろんな考え方がある。それに対して、一方的に欧米的な考えを押し付けても、トラブルが拡大するだけである。

基本的に、地域の問題は、地域で解決するしかない。外部から評論家的に、正しいとか正しくないとか言っても、あまり意味はない。更に力で介入するなど以ての外。欧米諸国(ロシアも含む)が荒らしたイスラム諸国等に対して、日本に出来ることは何か。それは西欧的価値観に捉われず、対話のテーブルの提供だろう。現在の中東の問題は、まさに、そういう所にあると思う。

本書は、イスラム社会を平易な文章で表現されており、一般人も十分理解できる。またイスラムを対象としたビジネス展開を考えている人も参考になるだろう。

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