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2015年5月21日 (木)

『増税よりも先に「国と政府」をスリムにすれば?』を読了

政府は、社会保障の充実として、消費税増税を促していたが、蓋を開けてみると、消費税増税分のほとんどが法人税減税の財源として、横流しされた。これにより、国民の政府に対する信頼感は落ちている。

選挙公約を無視して、このようになるのはなぜなのか。先進諸国の民主主義は危ういのか。民主主義が招いた既得権と選挙システムにより、各国は財政危機から抜け出すことが困難になっている。よく言われる、自由主義、民主主義、資本主義の矛盾の露呈だ。

先日、そういうことを問題意識にした、英エコノミスト誌編集長のジョン・ミクルスウェイトとエイドリアン・ウールドリッジ共著『増税よりも先に「国と政府」をスリムにすれば?』(浅川佳秀訳。講談社刊)を読了した。

企業組織の運営と異なり、行政は、あちら立てれば、こちら立たずということに、いつも直面する。よって民間経営者が、乗り込んでも、多くが挫折する。特に既得権との争いは、議員を巻き込んで複雑にする。

なぜなら既得権を得ている人も有権者だからだ。議員は、選挙に当選するには、敵を少なくしなければならない。そういう思考が働くと、改革意識は萎んでしまう。本来解決すべきことも後回しにされてしまう。

著書では、国家「理想像」の変遷史、現在の国家・政府・地方が抱える問題点、変革の嵐、第四の革命を記している。独裁的運営をしたシンガポールや危機から改革を成し遂げた北欧諸国の例を取り上げながら、民主主義運営の行き詰まりを指摘する。

また増税せずに改革するため、「国と政府」をスリムにすることの必要性を述べ、手段として、1、.国有資産の売却、2、不透明な補助金の廃止、3、年金・給付金の見直し、を挙げている(*注)。

最終章に、「第四の革命」を取り上げている。民主主義の限界を指摘し、修正民主主義を挙げている。例えば、選挙改革は、議会が関与しないということだ。これは日本でも、同様な問題が指摘されている。

日本の場合は、最近、三権分立が危うくなっているが、原点に戻り、それそれが第三者の立場からチェック監視できるようにするのが望ましいのだろう。議会が自らを選挙改革することは難しい。そのための憲法改正なら検討される意義はあるのだが。

*注

英エコノミストの提言としては、この程度かと、失望を感じる。2を除いては、必ずしも賛成できない。むしろ、問題を複雑化させるだけだろう。また、不透明な補助金に限らず、原則、補助金、給付金の類は廃止することが求められる。それらの効果は、不透明だからだ。もちろん、これらをあてにする諸団体も有権者だから、問題を複雑にするが、どこかで断ち切らなければならない。茹で蛙になってからでは遅いのだ。

*追記

読後感としては、若干違和感がある。本題の翻訳に問題があるのかもしれない。なぜなら、原作名は、“THE FOURTH REVOLUTION”となっており、副題として、“ THE GLOBAL RACE TO REINVENT THE STATE”となっている。『増税よりも先に「国と政府」をスリムにすれば?』というのは、一テーマに過ぎない。本の題名にするのは、原作者の意図と異なり、無理があるのではないか。

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