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2015年6月 3日 (水)

『リア王』再読

久しぶりに、シェイクスピアの四大悲劇の一つの『リア王』再読した。四大悲劇が何かなんて、ここでは記しません(笑)。『リア王』は、シェイクスピアの作品としては、子どもの頃から、絵本も含めて、割と多く接した。話の大まかな筋は、三人の娘に、生前に財産分与して失敗して、娘たちを含めて全てを失った王の話と言えるだろう(末娘だけは、財産を受け取っていないが)。結果的には、娘三人全て死んでしまい、王は狂乱の中、悶え死す。

この物語は、多くのことを示唆しているが、矢張り、生前に財産分与するリスクが挙げられる。王は、高齢であるので、そろそろ楽隠居して、娘たちに面倒を見てもらおうとしたのだろう。リアは、忠実な臣下のケント伯等が反対するにもかかわらず、生前に財産分与すると宣言する。

財産分与すれば、老後の自分は、当然、娘たちに看てもらえるだろうという発想だ。それに対して、三姉妹の内、長女のゴネリルと次女のリーガンは、王にお世辞を言って、たくさんの財産を得ようとする。ただ、末娘のコーディーリアのみ真心があり、一切お世辞を言わないが、逆に、それが、リアは頭にきて、財産を一切与えず、その分も、長女と次女に分配してしまう。

教訓一

ところが、いざ分配してしまうと、長女・次女の対応は、コロッと態度が変わる。いくら実子でも、このようなものかもしれない。昔、得意先にセールスに行った時、そこの社長夫人は、「財産は、子どもたちには遺さない。財産をあてにしないように、自立するように常々、子どもに言い聞かせている。会社も相続させるかどうか分らない」と言っておられた。

その後、会っていないので、どのようにされたかは不明だが、おそらく、そのようにするのが好いのだろう。仮に財産が残れば、本人の死後、相続という形で、分ければいいことだ。そこで、子どもたちは揉めようと、親の目には触れない。つまり、生きている間は、財産は渡さないのが正解だろう。子供の心は微妙だ。高齢になっても、依存心は危ういということだろうか。

リア王は、親子関係と言えども、権力の本質を甘く見たと言える。例えば、一般に、高齢になったトップが息子に社長職を譲り、代表取締役を返上すると、金融機関は、彼には見向きもしなくなる。それが現実だ。それを寂しいと思うなら、社長職を息子に譲っても、会長職に留まり、代表取締役を返上しないことだ。権力とは、そういうものだ。

教訓二

もうひとつの教訓は、親に子供の心は読めないことだろう。親というものは、子どものことは分っているようで、案外、分っていない。幼少時、親から受けた小さい心の傷が、大人になっても、ずっと残ることもある。子育ては、なかなか難しいものだ。子供にも、いろんなタイプがいるだろうが、一般に、特に結婚して別居すれば、生活に追われて関心が薄くなる。そうなると、ますます子供の心は読めなくなる。リア王の場合も、長女・次女は結婚して、外に出ている。末娘は、まだ結婚していないが、果たして、彼女が結婚しても、真心を持ち続けられたかは分らない。あるとも言えるし、ないとも言える。

また式部長官のグロスター公は、嫡子のエドガーに加えて、庶子のエドモンドがいるのだが、エドモンドがエドガーを罠にかけ、貶めようするのに親のグロスターは気づかない。これは、ちょっとしたエドガーとの感情の行き違いから生じたものだ。こういうことは、現代でも、十分ありうる。子供に関する評価は、情報を多面的に得て評価しなければならないということだろうが、現実は、感情が入り混じり、なかなか難しいことだろう。

教訓三

更に、お金持ちには、財産目当ての人物が近づいてくるということだろう。その中で、人物をより分けるのは難作業だ。末娘のコーディーリアが財産をもらえないと判明すると、彼女との結婚を望んでフランス王と争って勝ったバーガンディ公は、掌を返したように去っていく。結局、「あなたを除いて、何を望まない」と言ったフランス王が彼女を引きとっていく。お金持ちの娘の相手選びは難しいということだろう。

教訓四

更に更に付け加えると、もう一つの教訓は、親というものは、子供については、身近な人のアドバイスも耳に入らないようだ。これは、リア王だけでなく、賢明な人も、そのような傾向がある。身近にいる人も、他人の子供に関して注意・諫言するタイミングは大切だ。間違えば、ケント公のように地位や命を失う。それほど難しい。

これ以外にも、まだまだ教訓は隠されているが、ここら辺で止めておこう。やはりシェイクスピアは面白い。

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