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2015年7月20日 (月)

惚れ薬~落語『薬違い』

好きな異性を自分の方に向かせたいという思いは誰でもあるだろう。昔から、各国で、媚薬というものが利用された。ムスクとか麝香も、そうであろうが、日本では、昔、はるかに威力があるイモリの黒焼きが流行ったようだ。

イモリは漢字にすると「井守」と表現されるように、淡水に棲む。腹が赤い奴だ。似た形状では、ヤモリがあるが、これは「家守」と書くように、家の近くに棲む。今の時期になると、夕方、出て来て、窓に張りつき、獲物を狙っている。

さて、落語に『薬違い』というものがある。頭の足らない与太郎が、一人前に家主の娘に恋をする。その結果、ふらふら病にかかる。いわゆる恋の病。これを耳にした仲間たちが、さすがに同情して、知恵を出す。

そして、「イモリの黒焼きを買っておいで」と言って、買いにやらせる。そして、家主の家の物干しに、夜干しされている娘の着物に、その粉をかけさせる。そして、翌日、仲間たちが様子を見に行かせると、ちょうどいい具合に、娘からの使いがあり、与太郎が、飛んで行くと、「家賃が七つも貯まっているから、早く明けて」と言われる始末。

しょんぼりして帰って行くと、仲間たちから、「どうだった」と言うので、これこれで娘に家賃を督促されたことを伝えると、「はてはて、これはおかしい」と首をひねる。そして「お前、確かに、イモリの黒焼きを買って来たんだろうな」と言うと、与太郎言うには、「いや、俺の買ったのはヤモリだ」。「あやや、それは薬違いだ」とのオチ。

そんなことをしなくても思っても、当事者の気持ちになれば、そんなもの。さすがにイモリの黒焼きは知らないが、若い頃、ムスクの入った整髪剤を振りかけたところ、電車に乗ると、不思議と女性が横に座って来た記憶がある(笑)。媚薬も馬鹿にならないが、少し間違うと、嫌な顔をされるのは、女性の香水と同じだろう。与太郎のような過ちは、案外、誰もしているかも。

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