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2015年7月21日 (火)

落語『角兵衛』を鑑賞

落語に『角兵衛』というものがある。備忘録として記す。ご存じの方はパスしてください。あらすじは、中年の男やもめが一人娘に恋する話。真面目で、堅実な生活をしている、今年42歳になる熊さんが、越後屋の看板を上げている煮豆屋の一人娘、おかくに、ぞっこんとなり、恋煩いをする。家に引きこもり、仕事も手につかず、終日、ぼおっとしている。

友達が心配して、話を聞くと、彼は、会いたいばかりに、毎日、店に通いづめ、買った煮豆は樽一杯。そこで、友達が、越後屋に様子を尋ねると、娘は、婚礼の晩に婿の前しか言えないことだけど、それをやってくれるのなら、どんな男でもいいと言う。実は、今まで養子を6人迎えたが、全て、呆れかえって、やってくれないので、亭主を持てないことを聞く。

というのは、この越後屋の先祖は、越後の角兵衛獅子で、それで身代を築いた。よって何か目出度いことがあると、家の例として、女房は笛を吹き、亭主は素っ裸で獅子舞をする決まりになっていたのだ。ただ、熊さんの友達も、そこまでは、聞き出せなかった。

そのことを熊さんに伝えると、「そんなことは、わけない」と、大喜びで了解する。煮豆屋の親の方も、問題ないと、話はとんとん拍子に進み、婚礼が執り行われる。そして、ついに、その夜がやった来た。

おかくは、願い事を熊さんに伝える。「越後獅子の真似をして踊らないと先祖に相済まないので、婿になる人には、自分が、ピキピキピキーと言ったら、裸に赤襦袢を羽織って、獅子を被り、太鼓を背負って、ツクツクドンドンと踊って欲しい」と言う。

更に「これを一週間続けてもらいたい。それが嫌なら婿の話はなかったことにしてくれ」と言う。熊さん、そもそも初めから惚れた、おかくの言うことゆえ、恥ずかしい思いながらも了解し、この儀式をして、晴れて夫婦の契りを交わし、名も、熊さんから、「角兵衛」と名乗る。

もともと真面目な角兵衛は、身を粉にして働き、店は繁盛。間もなく、おかくが身重になって、十月十日経つと、産気づくのに、一向に、その気配がない。それで、周囲に、家の掟をやっていないからだと言われ、それもそうだと、おかくはピキピキピキーと笛を吹き、角兵衛は、裸で、ツクツクドンドンと座敷をはいずり回る。そうこうするうちに、産婆が、「あれ、子がえりをしましたよ」と言う。これに、熊さん、「なに、獅子だから、洞かえりよ」でオチ。

男女を問わず、惚れたら負け。何でも、相手の意向に従ってしまう。特に、男は女に惚れて、妻にすると、惚れた弱みを握られ、妻に、そのことをネタに一生締め上げられる(笑)。それでも、愛せる女性がいることは、幸せかも。

*追記

ちなみに、「越後獅子」なんて、今の人は知らないだろうが、子どもの頃、一度だけ見た。越後の国で、角兵衛なる人が始めたと言われている。貧しいが故に、子どもが彼らに売られて、親方に越後獅子の芸を仕込まれるが、大変厳しいので、悲惨な面があった。昔の時代劇や映画では、よく登場した。

「子がえり」とは、逆子のことで、「出産の際に、胎児が頭部を下方に転ずること」で、昔は、出産時に、そうなると考えられていた。「洞かえり」とは、バック転の繰り返しのこと。越後獅子には付きものの芸。

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