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2015年8月24日 (月)

「国民」の防衛論~佐瀬昌盛著『むしろ素人の方がよい』を読了

安倍政権における中谷元防衛大臣の資質が問われている(*注)。中谷元氏の場合は、自衛官出身で、議員秘書を経て、議員職になって、広く世間を知らない感じだ。ただ、その経歴からして、リベラル派と見られている。自衛官出身としては、民主党政権時代も、民間から、自衛官出身者を大臣に招聘した例がある。彼の場合も見識は狭かったように思う。

そのように感じていたところ、先日、佐瀬昌盛著『むしろ素人の方がよい』(新潮選書刊)を見つけ、読了した。副題は、「防衛庁長官・坂田道太が成し遂げた政策の大転換」だ。彼は、就任時、防衛には素人と自認していたし、周囲も、そのように見ていた。

しかし、彼の場合、戦争経験者であるし、政治、経済、文化、外交に通じていた。それに、きちんとした哲学も持っていた。更に文部大臣の経験から文教族と見られていただけあって、教育者としての目線も持ち合わせていた。よって自衛官への訓育・訓話も確かなものであった。

彼の日本の防衛力に関しては、「日本を侵略しようと他国から攻めてきた場合には、相当の力を持ってこれに反撃しますぞ、容易には屈しませんぞ、多大の損害を与えますよ」の姿勢を明確にすることであった。これは高坂正尭氏が、『防衛を考える会』で提唱した「拒否能力」をベースにした考え方であった。

『防衛を考える会』は、民間人で構成されていた。政治家、官僚、防衛産業のメンバーは入っていない。すなわち、国民目線で、坂田は、防衛を考えようとした。つまり、「国民の支持なき防衛政策は無意味」と考えていたのだ。

当時と、現在は、日本を取り巻く安保状況は違うと、現在の保守派の人たちは言うかもしれないが、坂田氏が防衛庁長官をやっていた時も、安閑としていられる状況ではなかった。むしろ、デタントは進んでいたものの、現在より危機感は強かったかもしれない。

防衛大臣の適格者は、やはり安保バカより、国民目線で、人間哲学が分り、分野を問わず、広く世界を知っている人物が望ましいと、この著作は教えてくれる。若い人も、注目の一冊だ。

*注

但し、中谷元氏は、安倍首相の意向に従わざるを得ないので、安倍政権の防衛大臣になったことが、そもそもの誤り。

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