北野武著 『新しい道徳』を読む
学校教育における道徳教育が話題になって久しいが、それに対して疑問を持っている人も多い。そもそも道徳とは何ぞや、という問いから考える必要がある。この問題に対して、北野武氏が、独特の切り口で、国の道徳政策を解説批判している。それが、『新しい道徳~「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか』(幻冬舎刊)。
まず、最初に芥川龍之介の『侏儒の言葉』から道徳の持つ怪しさを引用している。そして、「はじめ」には、彼にしては、十分な予防線を張っている。読めばわかるのだが、突っ込みどころ満載の内容だからだ。道徳そのものが、そういう性格を帯びていることもある。
彼の予防線は次の通り。「他人のいったこと、他人の書いたこと、あるいは他人の考えたことを、そのまんま鵜呑みにする性癖のある読者は、ここですぐさまパタンと閉じて棄ててしまっていただきたい」と。
それでも、これから読もうかなと思う人は、そういう覚悟をして手に取ってみてください(笑)。彼の意見の正否はともかく、少なくとも、家庭内、職場内で道徳教育論を展開するには、十分なネタを提供していると思う。買うのが勿体ないと思う人は、回し読みでもいいだろう(税抜き定価は1000円)。北野氏は十分に金持ちだし。あっ、それでは発行所が困って道徳的にまずいか(笑)。
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