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2015年11月26日 (木)

石炭火力発電の何が問題か

報道によると、世界で、石炭火力発電への風当たりが強くなっているという。果たして、それは正しいのか。

2015年11月、経済協力開発機構、略称OECDの作業部会が、発展途上国への石炭火力発電の輸出に対する先進国の公的融資を、「地球温暖化」対策の観点から、条件を設けて制限することに基本合意したらしい。対象は、二酸化炭素排出の度合いが高い非効率技術だ。

石炭火力の技術には、効率の高い順に、「超々臨界圧」、「超臨界圧」、「亜臨界圧」がある。出力が50万キロワットより大きい場合、亜臨界圧や超臨界圧技術を使った発電所への融資は認めないという。出力が50万キロワット以下の超臨界圧と、30万キロワット未満の亜臨界圧の発電所は、対象を最貧国に限るなどの条件付きで融資を認める方向とか。

だが、二酸化炭素排出が地球温暖化に対して影響がないとすれば、これらの議論は成り立たない。石炭火力発電の場合は、むしろ公害の視点で考えるべきだろう。途上国のようにレベルの低い石炭火力の場合、煤煙による大気汚染の問題がある。

日本が進めているのは、高効率の石炭火力発電であり、それだと排出されるのは、二酸化炭素と蒸気だけだ。それを輸出するのが合理的考え方だ。それを最初から、「超々臨界圧」という高効率の発電技術だけを輸出するとなると、受け入れ国の予算の問題で難しいケースもある。何もかも規制するのが、果たしていいのかどうか。OECDは、何らかの思惑があると判断される。

価格が比較的安く安定的に入手できる石炭を使う石炭火力は、今後、世界で安定的な電力需要を賄うためには、重要な手段になりうる。公害問題には配慮しなければならないが、地球温暖化という情報錯誤をいつまでも引きずるのは望ましくない。

世界の官僚は、どこの国でも、省益を重要視する結果、一旦走り出すと止められない性格を持つ。今一度、原点に立ち戻り、全世界で何が重要なのか考える必要がある。過去の間違った理論に、いつまでも惑わされて本質を失ってはならないだろう。

*追記

それでは、国内の火力発電反対派の意見はどうなっているのだろうか。

全国で、石炭火力発電所の建設計画が48基あるが、丸川珠代環境大臣が、一部の石炭火力新設計画の環境アセスメントで、「是認しがたい」と意見を発表しているが、環境省の役人の意見をそのまま言ったのであろう(*注)。

また、先日神戸市で開かれた、「温暖化対策の危機を乗り越える」というフォーラムでは、次の発言があったという。

一、NPO法人の気候ネットワークの某研究員は、「石炭火力発電の建設は、二酸化炭素排出や健康影響上、望ましくない。太陽光、風力などクリーンな再生可能エネルギー普及を促進・支援すべき」とする。

二、産業技術総合研究所の、某研究員は、「石炭は、燃料の性質上、液化天然ガスの1.8倍の二酸化炭素を出す。その分、安価と言われるが、発電所建設費を含めた発電コストは、LNGと変わらない」と指摘する。

三、神戸大学院法学研究科の某教授は、「石炭火力発電の建設は、地域の二酸化炭素排出量の大幅増につながるもので、地方自治体が、アセスを通して、「許さない」という立場を表明すべき」だとする。

これらの発言も、前提条件が違えば、意味のない発言ということになる。地球全体では人口は限界点を超えて増え続けており、食糧危機の観点から、植物を育成するには、適切な二酸化炭素の量の確保は必要だ。また、そもそも再生可能エネルギーには限界があり、石炭火力発電に反対すれば、原発を推進することにつながりかねないことを知るべきだろう。

*注追記

2016年2月8日に、従来、新設の石炭火力発電に対し、「是認できない」としていた丸川珠代環境相は、経済産業省と協力して電力業界の管理を強化するのを条件に新設を容認した。

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