心の掃除~『言志四録』より
今、住んでいる家は古家なので、毎日、掃除しないと、塵が積もる。ずぼらな私は、適当にしているが、それでも、時々埃が気になる。その時は、簡易掃除モップで拭き取る。毎日、これの繰り返しだ。
ところで、以前にも取り上げた佐藤一斎の『言志四録』に次の一文がある。
人は皆一室を洒掃(さいそう)するを知って、
一心を洒掃するを知らず。
善に遷(うつ)りて毫髪(ごうはつ)を遺さず。
過を改めて微塵を留めず。
吾れ洒掃の是の如くなるを欲して、
而も未だ能わず。
洒掃とは、清掃のこと。毫髪とは、わずかな髪のこと。転じて少しの悪いこと。全体を解釈すると次のようになるかもしれない。
「世の中の多くの人は皆、部屋の掃除をすることは、よくわかっているけれど、心の掃除をすることは案外わかっていない。善き行いに移ろうとする時は、少しでも悪いことは残さない。過ちを改めて、ほんの少しの過ちも留めることはない。自分は、そうありたいと思うものの、未だ、できずにいるのは情けない」
佐藤一斎は、謙虚に言っているだけと思う。現代人も、現実に追われて、なかなか心の掃除はできていないかもしれない。妄想や妄念に惑わされることなく、時には、心の断捨離も必要だということだろう。
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