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2016年1月10日 (日)

岡倉天心の『日本の覚醒』を再読

久しぶりに、岡倉天心の『日本の覚醒』を再読しようとしたのだが、いくら蔵書を探しても見つからない。若い頃、確か読んだはずと思って、隅々まで探すが、とうとう見つからなかった。社会人になってから読んだと思ったのだが、学生時代に読んだのかもしれない。

とすれば、社会人になって家を出た時、実家にある本を速やかに処分せよと言われ、その時に処分したのかもしれない。止む無く、改めて購入することにした。細かい内容は、ほとんど覚えていなかった。当時は、流し読みした程度だったのだろう。

岡倉天心は、岡倉覚三が本名で、日本美術院を創設したことで有名。この著作では、江戸時代から明治維新、日清戦争、日露戦争になった経緯を彼なりに分析している。大川周明が、『日本二千六百年史』に著した徳川時代以後の認識と若干、見方が異なる。岡倉の場合は、歴史学者的視点ではなく、教養のある知識人の感覚だ。

例えば、徳川政権をダメにしたのは大奥だと指摘している。雌鶏が鳴けば、国が滅ぶというのである。そもそも、家康が、幕府創建時、女性を使者に使うなど、重要視したことが、後に彼女らの権力が大奥に集約されるようになり、幕政に口を出すようになる。

彼女らの考え方は、保身に固まり、保守的だ。それが改革を遅らせ危機を招いて、幕府の崩壊を早めた。これは朝鮮王国でも、そのようであり、貴族の女性たちが、国家の危機を認識できず、保守的になり、国政に口を挟んだことが、国家危機に陥った原因だと指摘する。

もちろん、他にも要因はあるだろうが、外敵から付け込まれやすい状況を作ったことは否めない。歴史学者は、案外、こういう視点が抜け落ちている場合が多いので、彼のような視点が戦前にあったということを再確認した次第。

この本は、戦前の日本人の知識人の感覚が、よく理解できる。当時、欧州やロシアのアジア侵略に、日本が恐れていたことは確かだ。特に、朝鮮半島への中国、ロシアの支配を警戒した雰囲気が、よく表れている。若い人たちが、歴史を検証する時の参考にはなるだろう。

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