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2016年2月 3日 (水)

姫路市の転出超過を止めるには~大学の誘致

総務省が2016年1月29日に公表した「2015年の人口移動報告」によると、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)は、転入超過で11万9357人となり、前年と比べて9949人増えたらしい。東京圏への転入超過は20年続いており、人口の一極集中を止められないようだ。

以前にも述べたように、人口の一極集中は国家の危機を増殖させ、その運営コストも増える。一部学者が、効率化されると言うのは嘘である。ある程度までは、確かに、そういうことが言えるかもしれないが、東京圏は、すべでではないが、東京を中心に既に限度を超えている。最早、非効率の域に入っている。更に災害リスクも増す。

他方、名古屋圏や大阪圏は転出超過となっている。転出先は東京圏になっている模様。ただし、県レベルとで見ると、愛知県と大阪府は転入超過になっているという。ところが、兵庫県は、7409人の転出超過となっている。

その兵庫県の中で、姫路市が転出超過が1173名で、「転出超過の上位10市町村」の10位に入るなど不名誉なことになっている。姫路市は、「京阪神の大学に進学したまま戻らないケースが多い」とし、「圏域全体で雇用の受け皿を作り、人口流出を食い止めたい」とする。

転出超過を止めるには、確かにターゲットを絞った対策を取ることによって転入を増やしたり、産業の振興による雇用の受け皿をつくることは大切だが、それだけでは駄目だろう。やはり長期的には、大学・研究所の充実が求められる。姫路市が、今後、播磨圏をより一層発展させるには、圏内への人材の提供が必須だ。他所で教育を受けた人材を招くのもいいが、地元で人材育成する必要がある。

現在、姫路市にある大学は、参考(*)に示した通りだが、まだまだ学部的に不足気味だ。何が足りないかと言うと、今、文科省で問題になっている、文系の大学(人文系、商学・経営学・法学、工芸・アート系)が不十分だ。すなわち、民間の商業系・観光系・情報系の人材を育成する機関が足りない(*注)。これがないと、人材レベルも上がらない。

ただ、新設するとなると、難しい面もある。しかしながら、これらの学部は、新たな設備投資も、備品関係を除けば、あまり要らない。必要なのは教室と教授・講師さえ準備できれば、明日からでも可能だ。社会人教育を含めて産学共同ということで、既存の大学の各部誘致が望まれる。そうすれば圏内の人材の流出を止めると共に各地から人材を集められるメリットもある。地方の都市の発展には、大学の充実は欠かせないと思う。

*参考 姫路の大学の現状

 ◎兵庫県立大学 工学部 姫路

   ・電気・電子・情報工学

   ・機械・材料工学

   ・応用化学工学

 ◎兵庫県立大学 姫路環境人間キャンパス

   ・環境システム

   ・健康創造

   ・環境デザイン

   ・環境共生社会

   ・人間形成

   ・国際教養

   ・食環境栄養

 ◎姫路独協大学

   ・人間社会学

    (外国語、法学、経営情報を統合)

   ・医療健康

   ・薬学

   ・看護

 ◎近大姫路大学

   ・看護

   ・教育

   ・教育(通信)

*注

大学の学部誘致は、一応、ブランド力のある一流私大が求められる。そうでないと、流出を止めることは難しい。また新設学部には、多くのアジアの留学生を招く必要もあるだろう。

この他にも、以前にも指摘したように、地元で医師不足を補うため、医学生を育てる必要がある。ただ、これは医療機関との兼ね合いもあり、姫路市だけで判断できない。兵庫県の強い関与が求められる。

*2016年2月6日追記

本日の報道によると、姫路市の話ではないが、兵庫県宍粟市一宮町に林業や森林に関わる人材を育成する「兵庫県立森林大学校(仮称)」を開設すると兵庫県が正式に発表したとのこと。林業だけでなく、森林セラピーや野生鳥獣被害対策など森林経営全般に関わる人材を育成していくらしい。

2年制で学校教育法上は専修学校にあたり、大学の農学部などに3年から編入する受験資格を与えられるそうだ。また社会人を対象にした短期間の「研修科」も設けるという。地元では、高校卒業後、進学先がないことが、若者の流出する要因の一つになっていたので、歓迎している。

地域の人材育成を賄うのには、適切な方法だろう。これは、地域の産業界の求める人材育成のモデルになりうる。姫路市でも、産業界の要望を聞きつつ、積極的に導入してもらいたいものだ。

*2016年7月4日追記

日本商工会議所は、今年4~5月に実施した中小企業調査では、人手が不足していると答えた企業の割合は、55.6%と前年より、5.3%上昇したらしい。中小企業への就職支援の有り方が問われる。

*2016年7月4日追記

静岡経済研究所の望月毅主任研究員は、地元からの若者の流出に歯止めをかけるため、「政府も協力して、一つの学部でもいいので、首都圏の大学を地方に移転することはできないか」と言っている。私の意見と同じだ。

そもそも首都圏に大学は最早、不要だろう。情報化時代に首都圏に必ずしも大学を置く必要はない。それに、いい場所を占めており、大学は地方移転させて、跡地を再開発すれば、東京都にとってもメリットは大きいはずだ。

 

 

 

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