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2016年3月20日 (日)

森田長太郎著 『国債リスク』を読了

2013年4月に、黒田東彦日本銀行総裁は、2年程度で前年比2%の物価上昇率を達成する目的のために異次元金融緩和を決定し、その実行を続けている。だが、成果は、思うように行かず、2016年、日本銀行は、マイナス金利を導入した。

これは金融緩和により、円高・株安阻止を図ったものと捉えられている。アベノミクスによる金融緩和の成果は、円安による株高だろうが、現在は、それも虚しく、剥げ落ちようとしている。政府・日本銀行の思惑が通用しないほど、甘い見通しであったことが判明している。

また、金融緩和の行き過ぎにより、安全資産と言われてきた国債価格が乱高下するようになった。金利を引き下げることで、10年国債利回りをマイナスに導いている。こんなことで、国債発行残高1000兆円と言われるのに、いつまでも消化でき続けるのだろうか。

それができなくなると、どうなるのか。噂されるように国債が暴落して、将来ハイパーインフレを招くのか。そういうことを理解するために、様々な専門家(経済学者、エコノミスト等)の書籍を読んできたが、リフレ派と反リフレ派の意見しかわからない。彼らのそれぞれの主張は、わかるような気がするが、本質的なものは、結局、何もわからない。

先日、本屋をうろうろしていると、目立たないところの一番下の段に、たまたま、森田長太郎著 『国債リスク~金利が上昇するとき』(東洋経済新報社)を見つけた。著者は、SMBC日興証券チーフ金利ストラテジストらしい。証券会社のエコノミストかという感はあったが、ぱらぱらと読んでみると、面白そうなので購入してみた。

読んでみると、割と客観的に分析されている。それも一般人にもわかるような丁寧な説明だ。「国債の暴落をどう見極めるか」と帯にあったが、6つのシナリオを提供している。現在の国債は、一般国民の預金と企業の余剰資金で支えられているという。巷間言われるような一般国民の預金だけではない。

過去の歴史からすれば、危機は、「過剰な金融緩和」と「放漫財政」と「中央銀行の国債引受」からやってくるのは歴史的事実だ。現在の日本も、安閑としていられないことは確かだ。ただ、日本経済は、大きいから潰せないかもしれないとも言われるが安心はできない。

つまり、大きな災害や戦争等「有事」が発生すれば、国債は破綻しないとも言えない。それほど綱渡りをしている状況だ。独断のアベノミクス施政と業界の意向を無視して「神」になったつもりの黒田日銀の政策は、その可能性を一歩進めたと指摘できる。

国債を持っている人が棒引きされるのか、はたまたハイパーインフレで紙切れになるのか。一般庶民にとってはハイパーインフレが一番困るのだが。いずれにせよ、国債を持っている人も持っていない人も、一読に値する。

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