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2016年4月29日 (金)

送別~杜甫の漢詩 『重ねて鄭錬に贈る』

久しぶりに、『唐詩選』を取り上げてみよう。杜甫の漢詩に、『重ねて鄭錬に贈る』というものがある。「重ねて」から判るように、この前に作った『鄭錬の襄陽に赴くに贈別す』という漢詩がある。鄭錬とは、人物不明だが、杜甫と同僚か年下の感じ。詩の内容から地方官であったようだ。彼は清廉潔白で、不正蓄財などできないタイプ。

中国は、今も昔も、官僚は、上から下まで、不正蓄財が、いわば常識になっている。現在の中国指導者層は、タックス・ヘイブンなどを利用して蓄財しているのは有名な話だ(さすがに、本人は直接関与していない。親類一族を使っての蓄財だ)。

汚職は中国4000年の歴史で、いかに現在の指導者が汚職追放と言ったところで、無くなることはないだろう。そのような環境下、不正をしないというのは大変なこと。却って仲間から攻撃を受けたり、嫌がらせを受けたりもするであろう。

その鄭錬が地方官を辞め、故郷に帰る時に、杜甫が詠んだのが、この漢詩だ。漢詩は、次のようになっている。

 鄭子将に行いては 使臣を罷めんとす

 嚢に一物の尊親に献ずる無し

 江山 路遠し 羇離の日

 裘馬 誰か感激の人為らん

訳すれば、次のようになるのであろうか。

「鄭錬君は、地方官を辞めて、故郷に帰ろうとされている。ところが、その旅行鞄には、(不正蓄財して)親に上げるようなものは何もなく、これから遠くまで山川を越えて厳しい旅をされるわけだ。何不自由なく贅沢な生活をしている人たちよ、いい加減に目を覚まして、彼の爪の垢を煎じて飲むべきだ」という感じかな。

杜甫のような嘆きは、心ある現代中国の庶民の中にもある感情かもしれない。結局、国を信じず、一族郎党のためにのみ働くという思考は今後も続くだろう。

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