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2016年5月18日 (水)

スーザン・ストレンジ著 『国家の退場』を読了

東京五輪招致不正疑惑が持ち上がっている。JOCは、国際陸連と関係のある人物にコンサルタント料として約2億2千万円支払ったということだが、やましい感じがするのは確かだ。だが、この問題が今持ち上がるのは、国際スポーツ界の怪しさを感じさせる。

大体、「国際」と名の付く、国家を超えた組織というものは、大体、怪しいものだ。別の意味では、国際連合などの国際組織も、そのようなものと同類だ。これらは、ほとんど欧米系が権力を握り続けている。

また、現在、パナマ文書が公になり、タックスヘイブン(租税回避)が問題になっているが、これも諸国家の租税システムの隙を突いて、その姿を現したに過ぎない。世界には、もっと多くのタックスヘイブンがある。超国家の存在と言えよう。

こういう問題は以前から一部指摘されているが、研究者は少ない。大概、国家レベルでの研究が多く、それを越える研究は極めて少ない。それは情報が隠蔽され、研究材料が少ないからかもしれない。

ところが、今から20年も前に、この問題を警鐘した書籍があると知り、先日読了した。それが、スーザン・ストレンジ著 『国家の退場~グローバル経済の新しい主役たち』(櫻井公人訳。岩波書店刊)だ。

世界がグローバル化する中で、国家を超えた主体が存在する。それが金融市場で蠢(うごめ)くヘッジファンドであったり、あるいは株価や債券価格に影響を与える格付け会社であったり、国の徴税権に影響力のあるビッグシックスと呼ばれる巨大六監査法人であったり、世界のリスクマネジャーである保険会社であったり、あるいは国際化したマフィアだったりする。

その他にも、ビジネスで国際カルテルというのも、「超国家」と言えないこともない。国が国内のカルテル問題を取り上げても、国際カルテルは、誰も分からない。国際ビジネスは、すべて、そのような可能性を指摘できる。

彼らはいずれも諸国家の統治の範囲を越えているため、国がコントロールできない。ところが、この影響力は年々拡大しており、諸国家の統治力を削いでいる。だが、多くの国は無関心であった。それは自国の統治と絡む部分もあり、ある意味、ギブアンドテイクで「癒着」の部分もあるからだ。

だが、「超国家」は非合法な世界ともいえる。「超国家」への無関心は、「国家」の崩壊を招く。今後、統治と非統治という意味合いで、せめぎ合いは続くだろう

*追記

今回のオリンピック誘致も、その部類だろう。そこに国際的権力闘争が絡むから、余計にややこしくなる。2020年の東京オリンピック開催の行方は混沌としてきたことは確かだ。個人的には、東京と地方の格差を拡大する東京オリンピックに反対なので、面白くなってきたとは思う。開催返上になったら、なったで歓迎だ。ただし、国には、多くの無駄遣いの責任は取ってもらう必要はある。

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