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2016年5月 4日 (水)

郭洋春著 『国家戦略特区の正体』を読了

TPPと共に話題になる「国家戦略特区」。国は、この特区に何を期待しているのだろうか。言葉だけ見ていると、今までできなかったことができて、新しい風を吹き込んでくれるような感じもする。

ところが、それを活用する側の思惑はいかに。この仕組みに、疑問を持って解説したものに、郭洋春著 『国家戦略特区の正体~外資に売られる日本』(集英社新書)がある。それを先日、読了した。筆者は、立教大学経済学部教授で専門は開発経済学。本の構成は次のようになっている。

第一章 「国家戦略特区」とはなにか

第二章 「国家戦略特区」が生む理不尽

第三章 アジアの「特区」でなにが起きたか

第四章 「国家戦略特区」は日本の破滅を招く

彼の疑問点は、後進国の開発手法の「経済特別区」を、なぜ日本が取り入れなければならないのかということ。そもそも日本で特区が始まったのは小泉政権時の規制緩和に対する米国の要望から対応する形で生まれた。

だが、特区を作ったところで、外資は投資しない。日本に投資するほど魅力的でないからだ。人件費の高い日本が後進国や途上国と争って、特別区を作っても、あまり意味はない。それを無理するのは、国も国民にも、宜しくない。こういった悲惨さは、既に韓国が経験済みだ。日本が、その後追いをして、どうなるのか。

更に、そこにTTPが絡んでくると、結局、多国籍企業だけを利することになるだけ。国の負担は増えるのに、税収は増えない構造。賃金水準も切り下げられ、国民も不幸になる。アベノミクスは、売国行為の国家戦略特区を大きく勘違いしている。もちろん、TPPもだ。この点は野党も十分に理解していない。

結論としては、日本は、最早、目先の「成長」という言葉に捉われてはならないということだ。むしろ、日本の現実と世界動向を注視し、それに相応しい「質」を重視した「成熟した社会」にしていけばいい。一人一人の幸せを重視し、「日本価値」を確立すればいい。そのためには、遠く先を見据えた人材投資が問われる。

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