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2016年8月11日 (木)

日本のあるべき方向性~『日本の転機』を再読

日本は、戦後、実質、米国の支配下にあり、米国との軍事同盟を維持してきた。ただ、いつまでも米国の核の傘の下で核不拡散体制のままでいいのかどうか。微妙な時期に来ているように思う。では、どうすればいいのかという知見は残念ながら持ち合わせていない。

しかしながら、ロナルド・ドーアの本を読むと、彼は一つのヒントを提示しているかもしれない。彼は1925年生まれのイギリスの社会学者だ。専攻は、日本の経済および社会構造、資本主義の比較研究。

その本とは、『日本の転機~米中の狭間でどう生き残るか~』(ちくま新書)だ。先日、再読した。この本の分析は、日本の政治学者にはないものだと思う。2012年の発刊だが、今でも政治家の方も政治家を志す方も、十分参考になるだろう。残念ながら、日本の政治学者は視野が狭く、程度が低いと感じる。

その内容は次のようになっている。

第一部 米中関係の展開と日本

第二部 まぼろしの核兵器

第三部 では、どうしよう?

詳しい内容は避けるが、著者が述べているように、新たな核兵器管理体制を築いて、米国との軍事同盟はゆるやかな解消に向かうことは、日本にとって、よいことかもしれない。そのためにも、日中関係の関係改善は避けて通れない。

個人的認識では、米中関係は、以前にも記しているように、表では喧嘩しても、テーブルの下では常に握手している関係だ。日本政府関係者は、どうしたことか、知ってか知らずか、表の喧嘩をそのままに受け止めている対応をしているのは残念なことだ。

そもそも日中関係は歴史的にも良好な関係の方がいいのが国にも国民にとってもプラス。特に中国国内の安定が、日本に平和をもたらす。大体、中国国内が不安定になると、本来、海洋国家でない中国が海外展開して、周辺国とトラブルを起こすのは歴史的事実。

現在の中国の南シナ海、東シナ海への進出は、中国内の不安定の裏返しの行動だ。トップの政治戦略、戦術が適切でないことは明らか。でも、日本が内政干渉することはできない。ただ、内政の安定に協力できる分野はあるだろう。

そうすれば、中国内政が安定し、日本にとってもメリットが大きい。もちろん、中国が問題にする領土問題も、前に進めることができるだろう。現実的かどうかはともかく、著者も、ある解決方法も提案している。

昔から隣国との付き合いは難しいとされるが、長い付き合いの中国との関係は無視できない。政治家の方も、外遊先に欧米諸国が選ばれることが多いが、もっと中国を選定されてはと思う。そのためにも、この書籍は一読の価値はあると思う。

*追記

一部に誤解を与えてしまったようだが、ロナルド・ドーアの意見は、傾聴に値するが、すべての意見に賛成というわけでもない。念のために、記しておく。

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