日本を右傾化させて困惑する米国
基本的に、戦後一貫して、米国としては、日本の政権を意のままに動かすことを基本的方針としてきた。そもそも自民党は、米国肝いりの政党だ。よって米国にとって都合のいい政党。もし、逆らえば、政権を引きずりおろせばいいと考えているのは明らか。
そもそも、日米同盟といいながら、日本の外交権は実質、米国の手の中にある。日本は勝手な外交はできない。勝手なことをしないように常に圧力をかけている。そして日本に外敵の危機を煽って米軍を駐留させ、アジア全体を睥睨する。
そのためには、日本を右傾化させ、軍の必要性を持たせ、米国の軍需産業に貢献させる深謀だった。ところが、見込みより、日本が右傾化し、反動右翼で国家主義者が政権を握っていることに懸念を持ち始めた。
第三次安倍再改造内閣は、反動右翼・国家主義者の集まりのようである(*注)。残念ながら、米国の懸念は反映されず、むしろ強化されている。これで思い出すのが、9年前の2007年の拙ブログ記事「日本スルーは起きるか」より再掲すると次のように記していることだ。
「現米国政府は、日本に国際的武力行使を求めるために、国家主義に走らざるを得ない憲法改正を求めておきながら、他方、安倍政権が憲法改正論議も含めて、国家主義に傾いていると感じているようだ。もちろん、これは米国の政治状況の変化もあるが、このように日米同盟は万全ではない。
この点に関しては、海外経済誌は、相当前に、米国の政策が、日本を右傾化させると警告していた。自民党は、実際、全般的に右傾化しているのは確かだろう。民主党だって、前代表は、かなり国家主義的である。
しかし、外部の警告にも無関心で、兵器産業に煽られた安倍政権の無邪気な発言は、結局、国益を害する。この原因は、政治家の哲学の欠如・主体性の欠如と言わざるを得ない。単に世界の情勢に流されて、何の哲学もなく、目先だけを見て何も考えていないのだ」。
当時、この記事を記したことは確かだが、海外経済誌ほどの危機感はなかった。今にして思えば、彼らの指摘は正しかったことになる。米国の戦略の結果、自民党が国家主義者に乗っ取られて、迷惑するのは一般国民だ。戦後民主主義の危機だろう。米国も、安全保障政策を変更することを迫られている。日本が民主主義を失えば、元も子もなくなることは明らかだから。
*注
この点に関しては、次の書籍が比較的平易で詳しい。一般人にも、よくわかる内容だ。
山崎雅弘著 『日本会議~戦前回帰への情念』(集英社新書刊)。改造前の第三次安倍内閣と日本会議・神道政治連盟の関わりを示している。今回、大臣の入れ替えがなされたが、基本は変わらない。現在の自民党は、彼らに乗っ取られた感じだ。
*追記
日本の若い人の右傾化にも困ったものだ。生まれた時から情報社会に抵抗なく生きる彼らは、一つの情報に疑いもなく受け入れ影響されやすい。さらに、日本青年会議所も、そういう雰囲気を醸成する場となってしまっている。自民党議員で、右翼的極論発言をするのは、ここに在籍した者が多いだろう。明らかに、仕組まれている。正しい歴史観を持ち、自分で考える主体性のある若者の育成に努めなければ、日本の将来は危うい。
*2017年2月27日
日本会議の幹部が運営する学校法人森友学園に国有地をタダに近い価格で払い下げ大問題になっている。あり得ないことが起こっているわけで、政治家の関与は間違いない。取引の交渉記録も証拠隠滅されており、国土交通省の官僚だけの判断でできることではない。
自民党は、日本会議とずぶずぶの関係になっており、彼らに乗っ取られているという人もいる。その関係で安倍首相夫妻も巻き込まれている。更に日本維新の会も大きく関与しており、彼らに配慮している。政界を揺るがす大疑獄に発展する可能性がある。
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