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2016年8月24日 (水)

信心の効果~落語 『ぞろぞろ』

最近は、荒物屋というのは、ほとんど見かけない。荒物とは、バケツ、塵取りや箒の類、あるいは、ざるなどを売っている店だ。流風が子供の頃は、まだあった。掃除道具以外にも、いろいろ揃っていた。今は、その代りをホームセンターやスーパーがやっている。最近は、百均でも、一部取り扱っている。

落語にも、荒物屋を扱ったものがある。それが『ぞろぞろ』。あまり演じられることはないかもしれない。ぞろぞろと言うと、虫などが這いまわる様子を指す時もあるが、ここでは人やものが連続して現れる方の言い方。

あるところに、稲荷神社の前で、荒物屋をやっている老夫婦がいた。残念ながら、商売は順調とは言えず、いつも貧乏暮らし。売り上げがないので、新しく仕入れることもできない。要するに、あがったり。あるのは、売れ残った天井から吊り下がったワラジ一足だけ。

そこで、夫婦で相談して、神頼み。人間、追いつめられると、そのような考えに至る。水行して、稲荷神社に日参する。ある日、参詣後、帰ってくると、土砂降りが降って、地面はびちょびちょ。

そうすると、しばらくして、お爺さんが店番をしていると、「足元悪いので、今履いているものは汚したくない。爺さん、そのワラジをくれ」と言う者あり。珍しく客があるものだと喜んで、「へえ、ありがとうございます」と言って、わらじを一足売った。

そうすると不思議なことに、その後で、あるはずのない一足のわらじが、するすると天井から下がってきた。これは妙なことだと驚いたが、驚いている内に、また売れてしまった。そうすると、また天井から、一足下りてくる。ぞろぞろと繰り返しで売っていると、千客万来で結構繁盛した。そういうことで夫婦の暮らし向きは、ぐっと良くなった。

それを聞いた向かいの床屋の主人が、「爺さんたち、実にうまいことしたもんだ。それなら、俺も、一つ信心を始めることにしよう」と、早速、参詣に出かける。そして不思議なことに帰ってくると、いつもは閑古鳥の鳴いている店が、客でいっぱいになっている。

「なるほど、なるほど、ご利益はあるものだ。ありがたい」と言って、剃刀を客の顔にあてて髭をそると、剃っても剃っても次から次へと髭が生えてくるがオチ。

でも、髭が生えてくるから床屋の需要があるので、ごく当たり前のこと。荒物屋の奇跡とは、意味が全く違う。しかしながら、参詣することで客が増えて、御の字ということか。信心するといいことがあるという落語。

信心すれば、いつでも効能があるわけでもない。基本的に、その真剣さが問われる。つまり心を新たにし、精神を集中することが意味を持つ。そうすると、案外、日頃、見逃していることも見えてくる。商売も、そういうところがある。つまり商売に対する姿勢が問われているのだ。この落語は、それを茶化して表現している。

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