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2016年9月 5日 (月)

李白の『子夜呉歌』を鑑賞

戦後、夫が戦死し、戦争未亡人が多くいた。その中には、出征前に結婚されて、実質、結婚期間が、ほんのわずかだった人も含まれる。彼女らの中には再婚された方もいるが、子供のいる場合は、再婚されなかった例も多いと聞く。戦後の焼け野原の中を女手で生き抜くことは大変だったと思う。

さて、今回は、有名な李白の『子夜呉歌』を取り上げてみる。念のために記すと、子夜とは、南方土着の民歌から来ており、彼女らの作る歌は物悲しかった。代表して、「子夜」という女性の歌ということになっている。

その後、これを擬して、多くの詩人が、作詩した(楽府題という)。よって、女性の気持ちになって作られている。『子夜呉歌』は次のようになっていて、戦場にいる夫の無事を願って早い帰還を望んでいるものだ。

 長安 一片の月

 万戸 衣を擣(う)つ声

 秋風 吹き尽きず

 総(す)べて是れ玉関の情

 何れの日か胡虜を平らげて

 良人は遠征を罷(や)めん

敢えて解釈すれば次のようになるかもしれない。

「澄み渡った秋の長安の夜に、遠くまで月が煌々と光っている。どこもかしこも、(夫を待つ悲しさを打ち消すように)冬の支度をするため、砧(きぬた)を打つ音がする。秋風は、絶え間なく吹いている。この秋風に煽られて、心を乱すのは、玉門関にいる夫のことばかり。一体、いつになったら、夫は夷狄を平定して、帰還するのだろうか」ぐらいか。

当時は、今のような情報社会ではなく、夫が遠くに出征すれば、どうしているか知る手段もない。それゆえ、あてもなく待つ身は本当に辛い。ただ夫の無事を祈るのみというのは、いずれの国の残された妻の心情であろう。

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