« 富士通がニフティ売却とか | トップページ | 子供との約束~『韓非子』より »

2016年10月16日 (日)

シェイクスピアの『ヘンリー六世』を読了

先日、シェイクスピアの『ヘンリー六世 全三部』(松岡和子訳。ちくま文庫刊)を、やっとこさ読了した。600ページという厚さもあるが、人物の関係を把握するのに、少し時間がかかった。巻末にある系図を参考にするのだが、系図にない人物も当然いるわけで、似たような名前も登場するので、少し混乱する。これが日本人の名前なら、すっと入るのだが、あちらの名前は、なかなか覚えられない。

もともと、この本を読もうとしたきっかけは、現役時代、『リチャード三世』を読もうとして挫折していたからだ。そして、学生時代に世界史で学んだ「ばら戦争」とは、一体、その中身はどのようなものであったのか知りたくなったこともある。

ということで、『リチャード三世』を読む前に、まず『ヘンリー六世』を読む必要があると思った。もちろん、もっとさかのぼれば、『ヘンリー四世』を読まなければならないのかもしれないが、ランカスター家とヨーク家の争いのばら戦争に的を絞った『ヘンリー六世』を読むことにした。もちろん、『ヘンリー六世』は、創作だが、ある程度、時代の雰囲気は味わえた。

ランカスター家もヨーク家も、元をただせば、エドワード三世を起源とする同族だ。彼らが争うようになったのは、要するに後継問題。もちろん単純なことではない。エドワード三世の長子の黒太子と呼ばれるエドワードの子が王位を継承し、リチャード二世となるが、この後の後継でもめる。一応四男のの子が王位を継承して、ヘンリー四世と名乗るが、三男と五男の子孫(いわゆるヨーク家)は、王位を簒奪したとして反発する。

だが、ヘンリー五世、ヘンリー六世と引き継がれていくのに対して、ヨーク家は不満が増殖していく。ヘンリー六世の時、ついに爆発して、戦争になる。そこには、謀略、敵味方の裏切り行為、フランス王の介入などあり、いわゆる権力闘争が生まれる。客観的に見れば、コップの中の嵐だが、当事者は、必死だ。

シェイクスピアは、個人の感情のもつれを巧みに描いている。もちろん、史実にある程度、忠実だが、あることは描き、あることは省くという時代劇であることは確か。人々のやり取りはシェイクスピアの創作だが、英国人の気象を、よく表現していると思う。最終的に、史実通り、この物語は、結局、ヨーク家が、ランカスター家を追い落とし、権力を握って終わっている。

日本でも、南北朝時代、戦国時代、江戸時代を通じて権力闘争があったが、ばら戦争は、南北朝の争いに近いかもしれない。どこの国も、やることは同じだ。権力に対する執着、面子の問題、女がらみの政治介入による混乱、権力闘争に翻弄される一般民衆など。

結局、自分が一番でないと満足できない人々で、民衆のことなど何も考えていない。今、東京で起こっている新知事による大騒ぎも、以前に記したように自民党の権力闘争に過ぎないのかもしれない。彼らにつき合わさせられる庶民も辛い。シェイクスピアの描いたことは、現代でも、延々と続いているということだろう。

*2016年11月11日追記

報道によると、英国オックスフォード大学の全集が、シェイクスピアの『ヘンリー六世』三部作が、シェイクスピアのライバルと目されてきたクリストフアー・マーロウとの共作だったと認定したらしい。そして、今回の研究では、彼の44作品のうち、17作品に共作者がいたとの結果がでているという。

|

« 富士通がニフティ売却とか | トップページ | 子供との約束~『韓非子』より »

文化・芸術」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/99784/64354688

この記事へのトラックバック一覧です: シェイクスピアの『ヘンリー六世』を読了:

« 富士通がニフティ売却とか | トップページ | 子供との約束~『韓非子』より »