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2016年11月11日 (金)

シェイクスピアの『尺には尺を』を読む

かつてシェイクスピアの作品は四大悲劇をはじめ、喜劇等も読んだが、最近になって、あまり知らない作品をよく読んでいる。今回は、『尺には尺を』(松岡和子訳。ちくま文庫刊)というもの。『尺には尺を』というのは新約聖書にある「目には目を、歯には歯を」というのを逆説的に捉えたものらしい。

話は四組の男女が出てきて、微妙に絡む。公爵(ウィーンの君主)とイザベラ、アンジェロとマリアナ、クローディオとジュリエット、ルーチオとケート・キープダウン。一つ一つ、カップルの関係を示すと次のようになる。

公爵はウィーンの君主で、ちょっとした策士。圧政のそしりから逃れるため、貴族のアンジェロを試すためとして公爵の代理を務めさせ、雲隠れする。イザベラは、クローディオの妹で修道女見習いだが、戒律の教えの寡黙を守るどころか、しゃしゃり出て、べらべら話すタイプ。最終的に、公爵は美人のイザベラが修道女見習いであること無視して、寡黙でもなく従順でもない現代的な彼女を得るため策を弄する。

アンジェロは潔癖症だが、やがて偽善者の本性を現す。マリアナは彼の婚約者だったが、持参金不足とアンジェロの誤解から婚約解消される。マリアナは彼のことを忘れられない。アンジェロが公爵の代理を命じられていた時、兄を救おうとする美人のイザベラに対して、現代でいうパワハラ、セクハラで迫る。最終的に公爵の入れ知恵とは知らず、彼女の甘い誘いの罠に乗ってしまう(実際は、知らずにイザベラでなく、マリアナを抱く)。そのことがばれて、死刑の危機に陥るが、マリアナの懇請を受け、助かる。

イザベラの兄のクローディオは若い紳士だが、結婚前に恋人のジュリエットを妊娠させてしまい、罪に問われる。クローディオが迫ったためか、ジュリエットが迫ったためか。あるいは合意の上か。アンジェロからクローディオに対して容赦なく罪を問われ断罪を命じられる。

ルーチオは、クローディオの友人で変わり者。娼婦のケート・キープダウンを妊娠させてしまうが、言い訳して逃げようとする。それでも、ケート・キープダウンは子供を産む。果たして、どちらが悪いのか。

最終的には、四組のカップルは結婚させられるか、結婚することで終わっている(あるいは匂わせている)。人というものは、自分の尺にあった異性を選ぶとシェイクスピアは言いたかったということだろうか。ということで、これは一応喜劇なそうである。

*追記

解説によると、シェイクスピアの場合、最終が結婚で終わる場合は喜劇で、結婚で始まるのが悲劇だそうである。シェイクスピアからすると、彼らの結婚も不幸の始まりなのだが、不幸の度合いも「尺には尺を」ということなのだろう。

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