播磨の国の「風の神」と笑い話
一般に「風神」は、疫病や災害などの禍をもたらす。それに対して、「風の神」は風をつかさどる神様のこと。古代において、風は恐れられた。風は、農作物に大きく影響する。適度な風は、農作物を成長させるが、台風などの暴風雨は、作物に被害をもたらす。
古代には、風は神の息(後には御魂)と捉えられ、暴風を鎮めるために神を祀った。台風は、「多度の天の一つ目の神」と捉え、伊予~播磨~伊勢に「多々良の神」として祀られた。また海においては、航海安全の神でもあった。
播磨にも、かつて「風の神神社」があったとされる。「風の神」は大国主命の子供で出雲建子命ではないかと言われる。神社として祀っているのは、宍粟にある伊和神社とかが想起される。
その「風の神神社」での笑い話が伝わる。下り船の船頭が、祈願して、どうぞ追い風をと、請い願う。ところが、何日経っても風が吹かない。あまりにも風が吹かないので、神社の者に問いただす。
神主が言い訳するには、「ある人から上り風の所望があった。よって、まず上り風から、お吹かせになったのだ。さすれば、その次には、まもなく、その方の望む風を吹かすことだろう」と。神の立場は無視されて、神主によって神様も、嘘つきにされてしまう。
折角の神様も、それを運用する神主によって、変な解釈で、民を惑わす。あまり変な言い訳はよくないということを示している。
| 固定リンク
「姫路と播磨」カテゴリの記事
- 第31回 姫路全国陶器市(2018)に行く(2018.11.01)
- 姫路市立動物園入園者 3000万人突破!(2018.11.01)
- 姫路城関連ニュース 2018年11月分(2018.10.29)
- 謡曲『室君』について その一 概要(2012.02.11)
- 姫路カレーフェスティバルの案内 2018(2018.10.21)
コメント