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2017年5月15日 (月)

男女の思いのズレ~映画『凱旋門』から

凡そ、男女の恋愛関係には、その思いにズレが生じるのは致し方ない。ただ、そこから悲劇が生じる。今回は、久しぶりに、洋画を鑑賞した。それが『凱旋門』(原題はArch of Triumph)。1948年制作のアメリカ映画。主演は、イングリッド・バーグマン、シャルル・ボワイエ。あらすじを備忘録として残す。

舞台は凱旋門のあるパリ。時代は、第二次大戦前の不穏な雰囲気漂う時期。当時、パリには、いろんな国からの亡命者で溢れていた。

オーストリア医師のラヴィック(シャルル・ボワイエ)も、亡命者の一人。ナチを逃れて、不法入国していた。当然、旅券もない。生きるため、闇のアルバイト医師をしていた。その彼が、ある夜、ナチの収容所で、彼の恋人を拷問にかけ殺したゲシュタポの手先ハーケを見つける。

復讐心に燃えたラヴィックは、その場は見失う。その帰途、セーヌ河で身投げしようとしているイタリア女ジョーン・マドゥ(イングリッド・バーグマン)を見つけ、止めさせる。彼女は行くところがないということで、とりあえず、亡命者が宿としているところに泊めてやり、何かと世話を焼き、ホテルの手配もする。

そんなこんなで、彼女は彼のことが忘れられず、逢瀬を重ねるうち、二人の関係は深まる。彼女は、売れない俳優で歌手であったところから、彼は知り合いのモロゾフを通じて、カフェの歌手の仕事を紹介する。

そういうこともあり、二人は、リヴィエラで暮らすことになるのだが、幸せは続かなかった。ラヴィックの不法入国がばれて、即刻スイスに追放される。3か月後、彼はパリに戻ってくるのだが、彼女は消えていた。というのは、孤独に耐えかねて、青年富豪のアレックスと同棲してしまっていたのだった。

ラヴィックが探し求めた結果、ジョーンは戻ろうとするが、嫉妬に狂ったアレックスは彼女を刺してしまう。その頃、ラヴィックは、ハーケを見つけ、罠に嵌めて殺害し、復讐を成し遂げていた。その夜には、ニュースで、連合国の対独開戦を伝えていた。

疲れて、うとうとしているところに、ジョーンから電話が鳴り響き、殺されると言う。彼が駆けつけると、アレックスは、おろおろして助けをラヴィックに求め、救急処置もし、医療施設の手配もする。手術は専門医師の到着を待つべきであったが、ラヴィックは、最早、時間がないと、自らやるが成功はしなかった。結果的に彼女は亡くなる。

その後、ラヴィックも敵国人として、収容所に引っ張られていく。最後に、パリ市民の象徴である凱旋門が夜の闇に浮かんでいたというような内容。果たして、彼の手術の失敗は不可避だったのか、あるいは故意か。恋人を永遠に手元に留めるには、その方法しかなかったのか。いずれにせよ、ジョーンが死地に陥って、初めて、思いが一致したのは皮肉なことであろう。

若い人たちがご覧になると、単なるメロドラマにしか映らないかもしれない。2時間12分の映画としては、疲れを催すという批判もないではない。まあ、これは、ある程度の年齢にならないと理解は難しいかもしれない。

ただ、戦争の場面こそないが、戦争映画でもある。戦争で被害に遭うのは、いつも一般国民であることは確か。見方を変えれば、それなりに意味のある映画だと思う。

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