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2017年5月20日 (土)

老兵は死なず、と言うと

「老兵は死なず」というと、連合国軍最高司令官だったダグラス・マッカーサーが言ったとされる。その英文は、Old soldiers never die,but fade away。それを一般には直訳して、「老兵は死なず、ただ消え去るのみ」と訳された。

ただ、これでは、軍人の彼の本意は伝わらない。この言葉は、彼の軍人精神を表した言葉として指摘される。当時、占領軍として絶対権力を握っていた彼が、朝鮮戦争に原爆を使おうして、トルーマンに追われた。

そういう悔しさを表しつつ、軍人として律していく精神を表している言葉だろう。私が、ここに居なくなっても、心は常に皆と共にあると言いたかったのだろう。

さて、映画にも、最近視聴した戦前の英国映画で、邦題『老兵は死なず』がある。但し、原題は、The Life and Death of Colonel Blimp である。直訳すると、「傲慢な保守的軍人の一生」となる作品。この映画は、戦後、日本に入ってきたものだろうから、邦題は、マッカーサーの言葉を意識したもののように思う。

映画は、美人女優のデボラー・カー主演。ボーア戦争(英国とオランダの争い)が1902年に終わり、武勲を立てたクライヴ・キャンディ中尉がロンドンに帰還することから始まる。彼は、カウニッツというドイツのスパイが英国を中傷している噂を聞き、ベルリンに向かう。

彼は、そこで、エディスという英人家庭教師と共にカウニッツを懲らしめに行く。殴り合いになり、彼は、ドイツ軍将校の代表と決闘しなければならなくなる。1943年の英国の制作だが、老軍人をからかった映画だ。

第二次世界大戦の頃に、このような映画を作る余裕があった英国。それはともかく、デボラ・カーは一人三役をこなしている。一人目が、先に示したエディスという女性。クライヴは、好きだったが、他の男(決闘したドイツ軍人)に譲ってしまう。

そして、後に、1918年、西部戦線に出征中、エディスに似た従軍看護師のバーバラを見初め、年齢の差20歳だったが結婚する。その後、妻は亡くし、第二次世界大戦が始まり、現役を退けられると、またまたエディスに似た、自動車運転手の婦人部隊員のショニィ・キャノンと出会うことになる。もちろん、彼女は恋愛対象ではないが。

これは何を示しているのか。男は似たようなタイプの女性を好むということだろうか。あるいは男はロマンチックだということだろうか。一応、戦争映画のはずだが、どこか喜劇仕立てになっている。

騎士道精神から脱せない老軍人の悲喜劇とも言える。若い兵たちは、ナチスの非道のやり方には、老軍人のやり方では対処できないと批判し追い出してしまう。果たして、彼は時代に取り残されたのだろうか。

時代が変わったのかもしれないが、彼の妻に対する思いは、いつまでも変わっていないと終わっている。全体を通じても、白黒映画だが面白く、163分が、そんなに長く感じられなかった。名作と言っても差し支えないだろう。

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