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2017年6月30日 (金)

炊煙から考える

昔から、民の炊煙が上がらなくなると、経済の停滞を意味する。仁徳天皇は、民のかまどから煙が立ち上らないことから、「向こう三年間、税を免ず」と詔を発して、たちまち、民のかまどから煙が立ち上るようになったと『日本書紀』にある。

2016年度の一般会計の税収が、当初見込みの57.6兆円を大きく下回り55兆円程度とのこと。これは前年度の56.2兆円をも下回る数字。原因は、どこにあるのか。

ただ、現在の日本では、炊煙が上がらいないということはないだろう。しかしながら、人口減少下にあり、その総数は減る。更に個人の家では上がらず、盛んに中食業者や外食業者の炊煙が上がっているだけ。

このような状況下、今以上の所得税減税は必要ないだろう。むしろ、税収を増やすには、法人税増税、所得税の累進強化が求められる。それに加えて、マイナス金利を解除することだろう。これが税収を大きく減じている要因であることは明らか。

財務省は、国債残高の多さによる財政基盤の不安定さを解消するため、日本銀行と組んでマイナス金利を実施しているのだろうが、これはむしろ財務省の健全な努力を阻害するものだろう。

金融機関の経営努力が足りないのは確かだが、その利益の源泉を、はねても、いつまでも長続きはしない(*注1)。ある識者によると、マイナス金利は、形を変えた新たな税金という指摘もある。

更に、マイナス金利の経済効果は限定的で、むしろ負の効果の方が大きい(*注2)。それに加えて、いわゆる「気分が高揚しない」ため個人消費の足を引っ張っている。人口減少下においても、消費は気分。円安になって輸出に有利であっても、輸入には不利で個人消費の足を引っ張る。

当面、減税は不要(消費税は減税するか、近い将来も上げないでもらいたいが)だが、マイナス金利は早期に解消が求められる(マイナス金利を税と考えれば、実質減税になる)。これが決断できなければ、税収の回復は全く期待できないだろう。

以前にも述べたが、現在の日本は、不労所得をいかに上げさせるかに尽きる。古い考え方に囚われると有効な政策は打てないだろう。政策転換が求められる。

*注1

金融機関が経営努力しなくなったのは、金融自由化により、銀行と証券の一体化政策が採られた結果とも言える。金融機関は、安易に利益を上げられる手段を得て、本来の金融機能の発揮を怠るようになった。

*注2

金融機関は、低金利で、住宅ローンやアパートローンを拡大しているが、所得が増えない中でのローンを組むことはリスクが大きいし、人口減少下でアパートが増やすことは、将来、これらの経営が危機に瀕することが予測される。

*追記

話は全く異なるが、炊煙がらみの話を一つ。

武田信玄の軍師、山本勘助は、第四次川中島の合戦で、上杉軍を挟み撃ちにする「啄木鳥(きつつき)戦法」を採るが、上杉謙信は、それを察知したと言われる。それは武田軍の陣地で大量の炊煙が上がっているのを見て危機を察したと云う。

それで、謙信は、秘かに行動を起こし、先手を打って武田軍を襲っている。これで勘助の作戦は失敗した。この作戦の責任を取り、彼は討ち死にしている。ここでも炊煙を軽く見てはいけないと教えてくれる。

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