« タレントのギャラは、お布施のようなもの | トップページ | 2018年日亜修好120周年とタンゴの苦い思い出 »

2017年8月29日 (火)

『万葉集』の秋風

まだ暑いけれど、雑草抜きをしていると、さわやかな風が吹くようになった。それがすっと汗をぬぐい取ってくれる。そして、秋となると、人恋しい季節。流風でも、感じないことはない。

さて、今回は、『万葉集』の中から、女性の歌を取り上げてみたい。

君待つと 我が戀ひ居れば わが屋戸の

すだれ動かし 秋の風吹く

巻四 四八八番 額田王(ぬかたのおおきみ)

この歌の前書きに、「額田王、近江天皇を思ひて作る歌一首」とある。すなわち、天智天皇を思って詠んだ歌ということになる。

「あの方をお待ちして、恋い焦がれていると、(その心を察するように)私の家の戸口のところの簾を動かす秋風が吹く」という感じかな。

風をだに 戀ふるはともし 風をだに

来むとし待たば 何か嘆かむ

巻四 四八九番 鏡王女(かがみのむおおきみ)

これは、先の額田王の歌に対するもの。鏡王女は、額田王の姉とも、親とも言われる。渡来人であることは間違いなさそうだ(*注1)。

「その秋風の音にさえ、恋しがっているあなたは羨ましい。私は、風だけでも、やって来ると思って待つなら、何も嘆くことは有りません」という感じ。待つものがない寂しさが伝わる。

額田王も鏡王女も、天智天皇に愛されたが、この時は、額田王に愛が移っていた。鏡王女は中臣鎌足の正室になった(鎌足が天智天皇から下賜。もう少しマイルドに言えば譲られた。注2)。鎌足は、鏡王女が好きだったので大事にしたと伝えられる。鏡王女も、それに応えた。この歌は、鎌足が亡くなった後の歌と言われる。

*注1

額田王はバイリンガルだったと言われるが、鏡王女は、そのようだったとは言われない。姉妹だったとしたら、少し変。やはり鏡王女は渡来一世で、額田王は鏡王女の子供で、二世であるように思う。天智が人妻の鏡王女を略奪していたら、成り立つ話。まあ、この辺は、いろいろ想像されるが、事実は不明だ。

*注2

この時、鏡王女は、既に天智の子を宿していたと言われる。なお、鎌足は、存命中に、「藤原姓」を名乗れていない。天智の血をひく子供のみだ。よって、鎌足の他の子供は中臣姓。

|

« タレントのギャラは、お布施のようなもの | トップページ | 2018年日亜修好120周年とタンゴの苦い思い出 »

古典文学・演芸」カテゴリの記事

男と女」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/99784/65724116

この記事へのトラックバック一覧です: 『万葉集』の秋風:

« タレントのギャラは、お布施のようなもの | トップページ | 2018年日亜修好120周年とタンゴの苦い思い出 »