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2017年8月21日 (月)

谷崎の『信西』を読む

谷崎潤一郎の小説は、説明が丁寧過ぎて、あまり好きではない。分かりやすいことは確かだが、行間まで描かれると、若干、楽しみに欠ける。しかしながら、女性にはファンが多いそうだ。分からぬでもない。

ただ、彼の短編小説は好きだ。程よい長さの小説は、読むのに苦労しないし、時間の空き時間に、ちょっと読める。それに題材も面白い。中学生時代に、『春琴抄』とか『刺青』を読んだが、今回は『信西』を初めて読んだ。信西とは出家名で、俗名は藤原通憲(みちのり)。

大河ドラマ『平清盛』でも、登場した。学者の家に生まれたが、家を継ぐことなく出され、秀でた能力を発揮するが、学者の跡を継げない悩ましさ。そこで、彼なりに、官界遊泳術を発揮するが、天才肌にありがちな、先が見えすぎる。そこで、独断専行して、周囲から疎まれる。

小説では、信西が藤原信頼と対立し、藤原信頼と源義朝は、信西を襲撃する場面。信西は危険を察知し、郎党と共に、信楽山の奥に逃げ込む。そこでの信西と郎党のやりとりを記している。

信西には、弱気な発言が目立つ。基本的に、信西は学者肌。闘争慣れしていない。よって状況判断を誤り、自らを死地に追い込んでいる。どんなに理屈で正しくとも、人間関係は複雑。そのことを理解しなかった信西の悲哀を谷崎は描いているとも言える。

それは、その人の持つ運命なのか、宿命なのか、現代人も考えさせられる。

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