刎頸(ふんけい)の友
ロッキード事件が起こった頃、国際興業社主の小佐野賢治氏が国会に呼ばれて、田中角栄氏との関係を問われて、彼とは「刎頸の友」だと答えていた。その時、初めて、この言葉を知った。刎頸とは、頸(首)を刎(は)ねるという意味だ。
これは「刎頸の交わり」というところから来ている。意味は、「お互いのために首をはねられても悔いはないという誓いをした友」ということになる。藺相如(りんしょうじょ)と廉頗将軍の逸話が出典。
藺相如は、胆力と知恵のあった人物で、趙の恵文王の時代に、「和氏の璧(かしのたま)」を秦の王と丁々発止とやりやって、持ち帰った。このことにより、彼は上大夫に任じられた。その後も、秦との争いは続くのだが、藺相如持ち前の胆力で、秦の野望を阻止する。
その功績で、彼は上卿(じょうけい)になり、廉頗将軍より上位になる。これに反発した廉頗将軍。「彼は身分が低い出だし、口先三寸で出世している。奴の下になるなんて許せない。必ず貶めてやる」と凄む。
それを聞いた藺相如は極力、廉頗将軍と顔を合わせることを避ける。そうすると彼の部下たちが不信感を持つ。そこで、藺相如に本音を確認すると、彼は、「廉頗将軍と秦の王と、どちらが恐ろしいか」と尋ねる。部下たちは、「もちろん、秦王です」と答える。
「そうなのだ。今、国内で争っている場合ではない。私と廉頗将軍がいる限り、秦は戦争を仕掛けない。そのためには、彼を避けるしかない」と。それを聞いた廉頗将軍は、大いに恥じて、藺相如に謝罪し、「刎頸の交わり」を結んだ。
人間、自分のプライドから、いろんな思いを致す。だが、本当に大切なことは何なのか考えることは重要だ。これは何も政治家に限らない。個人の生活、家庭でも、同じことが言えるだろう。
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