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2018年5月18日 (金)

平群氏女郎の強い想い その二

引き続き、平群氏女郎の歌を見ていく。

草枕 旅去にし君が 帰り来む

 

 月日を知らむ すべの知らなく

「旅に行ってしまわれた、あなたは、いつ帰ってこられるのだろうか。それを知るすべもないのは無念です」

前の歌と、内容は似ているが、やや軽い表現かも。

かくのみや 我が恋ひ居らむ ぬばたまの

 

 夜の紐だに 解き放けずして

「このように私だけが、恋い焦がれている。夜に紐を解くこともできず、もやもやして眠ることもできない」

確かに、恋人を思っていると眠ることも、ままならない。関係の深さを感じさせる。

里近く 君が業りなば 恋ひめやと

 

 もとな思ひし 我れぞ悔しき

「君が近くにいれば、そんなに恋い慕うこともないと思っていたのに、そんなことを思っていた私は、今は悔しく思う」

空間的距離より時間的距離を感じている歌のようだ。心の距離とも言える。

 

万代に 心は解けて 我が背子が

 

 捻(つ)みし手見つつ 忍びかねつも

「いついつまでもと、お互い、心が通じ合って、あなたが、私の手を弄ばれた、その手を今、まじまじと見て、恋しさが募るばかりです」

世界は二人のために、という歌があったが、そういう時を経て、思い出し、にんまりしている様子(笑)。

うぐいすの 鳴くくら谷に うちはめて

 

 焼けは死ぬとも 君をし待たむ

「鶯の鳴く峡谷に身を嵌めて、焼け死ぬようなことがあっても、あなたをお慕いします」

ああ、怖ろし。

松の花 花数にしも 我が背子が 

 

 思へらなくに もとな咲きつつ

「あなたは、待つ身の私のことなど、ほとんど意識にないのを分かっていても、意味もなく、ただただ待っている」

現代で言えば、主婦の気持ちかな。相手の反応がないことに怒っているのかも。

大物家持の愛人とか恋人と言われた平群氏女郎の情熱的な歌の数々。女の情念は、すさまじい。でも、女心は、今も昔も分かりにくい。どこまで、本心を歌に詠ったのか。

万葉の時代の歌は、素朴で素直な感情を表したと捉えるのが一般的だが、やや作為的と感じるのは私だけか。歌に戯れと言うか、遊びがあるような気がするのだが。

 

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