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2018年6月20日 (水)

謡曲『草子洗小町』を読む その三

だが、これを真に受けた天皇は、「小町は、歴史ある歌の家系なのに、なんてことを。歌の道も衰えたものよ」と嘆かれる。小町も、御前の前で恥をかくことに。小町は強く無念に感じる。小町は黒主に出典をただすと、万葉集にあるが作者は不明だと言う。

(ここら辺から、黒主の工作が怪しくなる感じ。大体、こういったことは、いつか、ボロが出る。)

小町は、万葉集七千首(*注1)を知らぬ歌はないと言う(凄いなあ)。それでも、もしや、異本があるのかと訝るが、黒主は、あくまでも、小町が、古歌を盗んでまでも、勝とうとした言い張る。

(まあ、疑われると、強気に出るのは、どこの犯人も同じ(笑)。)

小町は、いろいろやり取りする中で、どうやら黒主の悪だくみだと見破り、言い争う。あきらめきれず、黒主に、詰問するが、黒主は、シラを切り通す。更に、黒主は、証拠として、予め書き込んだ万葉集の草子を取り出し示す。

(多くの矛盾点を小町が指摘する。それに対して、ついに黒主が決めてと思っている偽装した証拠品提出。}

ところがところが、よく見ると、墨の色が違い、後で書き加えられたと思い、天皇の許しを得て、銀のたらいに御溝水(みかわみず。清水)を汲んで、一同の前で、草子を洗うと、加筆された歌だけが流れて消える(*注2)。

(まあ、偽装のいい加減さが露呈。プロなら、少なくとも、こんな過ちはしないだろう。)

嘘がばれた黒主は、もう逃げられない。これまでよと、自害しようとするが、帝も小町も、歌人の熱心さから来たことと許し、水に流す。小町に薄衣、風折烏帽子を着せ、笏拍子を打って座敷を静め、小町は勧められて舞を舞って、和歌の徳を称える。

(偽装が発覚して、自殺をしようとする黒主。最初から、こんなことを企まなかったら、、、)

人は、競争に、どうしても勝ちたいと思うと、こんなことになる。これは女には負けたくないと思った黒主の過ち。でも、現代でも、こんなことはあるだろう。

*注1

『万葉集』には、実際は約4500首、収録されており、7000首というのは間違い。

*注2

実際に、草子を水で洗うというのは、ちょっと無理筋。例えば、「月の光」で透かして見たと考えれば、文学らしくなる。月の光を「川」と「水」と捉えれば、意味が通じると思う。

*追記

もちろん、この謡曲の内容は、完全な後世の創作。時代の異なる人々を同時代に並べて、作者は楽しんでいる。なお作者は、世阿弥元清。

*追記

姫路キャスパホールでは、2018年8月19日(日)に、第25回記念キャスパ能として、『草子洗小町』が演じられる。

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